改正投資奨励法が施行、投資優遇業種を明確化

(ラオス)

ビエンチャン発

2017年05月30日

 ラオスの投資政策や優遇を規定する改正投資奨励法が、4月19日に施行された。2016年11月に国会を通過し、12月16日付の国家主席令(No.206/PT)により公布されていた。

環境、教育、医療分野などに重点

改正投資奨励法(以下、改正法)は、2009年投資奨励法に変更を加えたもの。今回の改正では、重点的に投資優遇を与える業種を明確に規定した。旧法ではこの点が不明確で、ガイドラインによってセクターごとの優遇内容を規定していた。改正法の第9条では、特に優遇を与える事業として、9分野を挙げている。

(1)研究開発(R&D)、省エネ・環境親和技術を使用する事業

(2)クリーン農業、工芸作物栽培・林業、貧困解決事業

(3)環境にやさしい農産品加工事業

(4)環境にやさしく持続的な観光事業

(5)教育・スポーツ事業

(6)病院、製薬事業

(7)公共インフラ開発、運輸サービス事業

(8)マイクロクレジット事業

(9)ショッピングセンター

環境や貧困問題解決に貢献する農林業やその加工、観光、教育、医療、運輸、小規模融資などへの投資を歓迎する姿勢を明確にした点が、旧法との違いだ。また、優遇措置を付与する条件として、最低投資額12億キープ(約1,680万円、1キープ=約0.014円)、もしくはラオス人技術者30人以上、もしくはラオス人労働者50人以上を雇用する必要がある、とした。

全国を3つの地域に分け優遇に差

改正法は、旧法と同様に、対象事業には法人税や国土の借地料(コンセッション費)の免除を与える(表参照)。全国をインフラ整備の遅れた地方(第1地域)、進んだ都市部(第2地域)および特別経済区(第3地域)に分類し、最長10年間の法人税およびコンセッション費の免除を行う。これらの優遇は、今回新たに編成される副首相を議長とする投資奨励管理委員会(第75~79条)の合意で供与される。さらに前述の第9条のうち、(2)(3)(5)(6)に該当するセクターの事業については3~5年間の追加優遇が与えられる。旧法でも同様な追加優遇が与えられていたが、改正法では(2)と(3)に該当するクリーン農業や農産品加工事業も対象となった。これは、ラオス政府による当該分野への期待を示すものとして注目される。また、第12条では旧法と同様に、輸出のための生産に使用する原料、資本財、部品の輸入に対する関税および付加価値税(VAT)の免除、輸出のための国内原料(天然資源を除く)の購入時のVAT免除を付与することが規定されている。

表 地域別の法人税およびコンセッション費の免除期間と追加優遇

本格的な制度の運用は今後の見込み

この改正法は4月19日から施行されているが、法律履行のための首相令や大臣令(ガイドライン)は起草段階で、発出されていない。今後、時間をかけて詳細な投資優遇業種リストなどが規定されていく見込みだ。このため、具体的な投資については担当省である計画投資省および商工省、またはジェトロ現地事務所や弁護士事務所への確認をしつつ進めることが必要だろう。

(山田健一郎)

(ラオス)

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