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超高出力レーザー研究所へ視察ミッション派遣-日本製実験機械の導入に期待-

(ルーマニア、日本)

ブカレスト発

2017年05月12日

 ジェトロは3月16日、ブカレスト郊外にある超高出力レーザー研究所(ELI-NP)へ視察ミッションを派遣した。同研究所には大規模なEU基金が投じられており、元大阪大学教授の田中和夫氏が所長を務めている。今後実施される公共調達では日本製実験機械などの導入に期待が寄せられており、ミッションには日本企業などから総勢23人が参加した。

所長は元大阪大学教授、日本人研究者も2人

ジェトロ・ブカレスト事務所は3月16日、在ルーマニア日本大使館と共に、ブカレスト郊外に立地する「ELI-NP(イーライエヌピー)極限光科学研究開発機構-核物理プロジェクト」へミッションを派遣した。

ELI-NPは、共産主義時代からある「ホリア・フルベイ国立物理学・原子力工学研究所」に併設された研究所で、欧州地域開発基金の協調融資プロジェクトの下で運営されている。2013~2018年の拠出分約3億5,000万ユーロを基に、最新鋭「超高強度レーザー実験施設」を建設中だ。施設が完成すれば人類史上最大のレーザー集光を生み出すことが可能となり、最先端の研究成果はがん治療などの高度医療や宇宙開発などにも応用されると見込まれている。

元大阪大学教授の田中和夫氏が2016年9月、研究所長に就任し、世界中から集った150人近くの研究者を統括している。大阪大学が超高出力レーザー研究分野において最先端の設備と研究実績を持つことが、同氏が招かれた背景にあるという。ELI-NPには2人の日本人の若手研究者が所属しており、高性能な日本製機械の導入による研究の進展に期待が寄せられている。

ジェトロのミッションに参加したのは12社計23人(日本からの参加は4社6人、関係者を含む)。ELI-NP側からはニコラエ・ザンフィル機構長、田中研究所長はじめ約25人の研究者らが応対し、建設中の超高強度レーザー実験施設の内部視察に加え、日系企業各社による製品プレゼンテーション、入札に向けてのディスカッションを実施した。

2種類の実験機械の調達を予定

ELI-NPによると、既に配置されている「超高強度レーザー発光装置」についてはフランス大手重機のタレスに発注したが、今後の新たな調達案件として「レーザービーム輸送システム」および「ガンマビームシステム」と呼ばれる2種類の実験機材が予定されている。ザンフィル機構長は「ルーマニアの公共調達に日本企業が参加するのは容易ではないだろう。例えば書類は全てルーマニア語で提出する必要があり、1つでも不備があると即失格となってしまう。また、(ジェトロによるミッションの)翌日には英国大使館主催で同様のミッションが予定されており、英国企業17社が来訪する。国際競争も激しくなるだろう。しかし、日本の優れた技術に対する研究者の関心は高く、大きな期待を寄せている」と述べた。また、田中所長は「ミッションに参加した日本企業の中には、世界一の技術を持ち、競合相手が見当たらない企業もある。ぜひこのような日本企業に応札してほしいと同時に、ジェトロのサポートにも期待する」とコメントした。

写真 建設中の超高強度レーザー実験施設の内部(ジェトロ撮影)

2014年のEU公共調達指令改正を基に、ルーマニアにおいても公共調達法が2016年5月に改正された。従来的な最低価格方式に代わり、質と価格の両面からみる総合評価方式が採用されている。入札における価格評価点は全体の40%を超えてはならないとされており、日系企業にとっては追い風ともいえるだろう。

一方、ザンフィル機構長の発言にあるとおり、個々の企業にはクリアすべき多くの壁がある。例えば、ルーマニアにおける公共調達案件は、ESPP(公共調達のための電子システム)と呼ばれるオンライン上のシステムに集約され、専用のウェブサイト(www.e-licitatie.ro)を通じて全て電子的に行われる。応札を希望する企業はウェブサイトに企業情報を登録し、各種書類の提出や質疑応答をシステム上で行う必要がある。従って、ルーマニア国内に拠点のない日本企業の場合は、公共調達に強みを持つ法律事務所や専門家に、煩雑な書類手続きなどのサポートを受けることが必須だろう。

ジェトロ・ブカレスト事務所では、当地における入札案件に日本企業が参入できるよう、日本語による公共調達ガイドの整備や分野別の有力弁護士事務所・専門家のリスト提供など側面支援を進めることにしている。

(水野桂輔)

(ルーマニア、日本)

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