貿易・投資のルールなど対話の大枠で合意-第1回日米経済対話が東京で開催-

(米国、日本)

ニューヨーク発

2017年04月21日

 4月18日、マイク・ペンス米副大統領と麻生太郎副総理兼財務相をそれぞれヘッドとする第1回日米経済対話が首相官邸で開催され、貿易および投資のルール・課題に関する共通戦略、分野別協力など3つの柱に基づく対話の枠組みで合意した。ペンス副大統領は翌19日の講演で、米国経済における日本の重要性を強調すると同時に、減税や規制緩和などに取り組むトランプ政権の政策をアピールした。

3つの柱に基づく対話を開始

日米経済対話は2月に開催された日米首脳会談で設置が合意されたもの。第1回対話終了後に発表された共同声明によると、今回は、(1)貿易および投資のルール・課題に関する共通戦略、(2)経済および構造政策分野における協力、(3)分野別協力、の3つの柱に基づく対話の枠組みで合意に達したという。

このうち、貿易および投資のルール・課題に関する共通戦略では、「貿易および投資に関する高い基準」「地域および世界の貿易環境における日米両国の貿易および投資イニシアチブの視座」「第三国に関する懸念への対処」について議論していくことで一致した。

経済および構造政策分野での協力では、「G7による3本の矢のアプローチ(相互補完的な財政、金融および構造政策)の積極的活用」「グローバルな経済および金融の進展および課題に関する協力」「地域におけるマクロ経済および金融課題に関する協力」を取り上げることになった。

分野別協力では、商取引の向上が両国において相互の経済的利益および雇用創出を促進する具体的な分野を議論した、としている。麻生副総理は分野別協力について、「高速鉄道などのインフラ整備、エネルギー、経済分野での女性のエンパワーメントなどの協力を通じ、日米経済関係を多面的に深化させていきたい」と述べた(外務省)。

また、次回会合を2017年内に開催することで合意した。なお米メディアは、第1回会合が具体的な議論に踏み込まなかったことから、大きくは取り上げていない。「ニューヨーク・タイムズ」紙(4月18日)は、北朝鮮に対して強硬姿勢で臨むとしたペンス副大統領の発言などを中心に取り上げつつ、「米国にとって環太平洋パートナーシップ(TPP)協定は過去のもの。2国間関係の中でベストなかたちを追求していきたい」との同副大統領のコメントを紹介している。

過剰規制の時代から雇用と成長の時代へ

翌19日、ペンス副大統領は都内で開催されたビジネスパーソン向けセミナーで講演し、日米間の貿易・投資のデータに触れつつ、米国経済における日本の重要性や双方向の投資が拡大している点などを強調した。また、自身がインディアナ州知事時代の2013年と2015年に、投資誘致のために地元の企業・団体幹部を引き連れて日本を訪問した経験を語り、当時、同州では日本企業による18億ドル超の投資があり、7,000人近い雇用が創出されたことに常に感謝していると述べた。

日米経済対話にも言及し、「われわれの目標はシンプルであり、両国に平等に利益のある自由でかつ公正な貿易を求めている」と語った。また、両国にはさまざまな分野で協力の余地がまだ多くあるとし、経済分野での女性のエンパワーメントを両国で推進していくことで合意したことを一例として挙げた。

トランプ新政権の政策としては、減税、規制緩和、インフラ開発、米国のエネルギー再重視に向けて、昼夜をおかず取り組んでいる、と訴えた。特に最優先事項である税制改革については、複雑な税法や先進国で最も高い法人税などがビジネスを阻害していると指摘し、税制改革によって世界で最も強固な経済がさらに強くなる、とアピールした。さらに、新たに1つ規制を設けるには2つの規制を廃止することを関係官庁に指示した大統領令にも言及し、過剰規制の時代から雇用と成長の時代が始まった、として米国への一層の投資を呼び掛けた。

(若松勇)

(米国、日本)

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