ドイツ系自動車部品サプライヤーの開拓を促進-バヒオ地域のケレタロ州で自動車部品商談会-

(メキシコ)

メキシコ発

2017年04月10日

 メキシコは競争力のある労働コストや、46ヵ国との自由貿易協定(FTA)網、輸出における地理的優位性などから近年、生産拠点として自動車メーカーの進出が急速に進んでいる。一方で自動車産業の裾野は狭く、部材の現地調達は容易ではない。地場企業に加えて進出外資系企業からの調達を促進するため、ジェトロは日系メーカーとドイツ系メーカーとの自動車部品商談会を開催した。

ドイツ系の自動車部品メーカーなど41社が参加

ジェトロは3月27日、日系自動車・部品メーカーの現地調達支援を目的に、在メキシコドイツ商工会議所(CAMEXA)、メキシコ貿易投資促進機関(PROMEXICO)、メキシコ自動車部品工業会(INA)と協力し、メキシコに拠点を置くドイツ系自動車部品メーカーとの商談会を開催した。進出著しいバヒオ地域(注)の1つであるケレタロ州で実施した同商談会には、日系の自動車・部品メーカーなど10社、ドイツ系の自動車部品メーカーなど41社が参加した。

メキシコにおける2016年の自動車(大型バス・トラックを除く)生産台数は346万5,615台となり、過去5年間で35.5%増加している。自動車生産が拡大する一方で、日系自動車・部品メーカーが抱える課題の1つは現地調達だ。ジェトロが毎年実施している進出日系企業実態調査では、日系製造業の約6割が部品・原材料の現地調達の難しさを課題に挙げる。現地調達率(平均値)は21.6%と極めて低く、日本からが37.3%で、17.7%は米国から輸入している。現地調達のうち、現地進出日系メーカーからが40.8%、地場メーカーからが46.7%、外資系メーカーからが12.5%となっており、特に外資系のサプライヤーを十分に発掘できていないのが現状だ。

メキシコ経済省によると、2016年の対内外国投資のうちドイツからの投資は23億9,500万ドルで、米国、スペインに次ぐ3番目の規模だ。CAMEXAによると、過去14年間で約800社が進出し、ドイツ系企業は約1,900社に達する。フォルクスワーゲン(VW)、シェフラー、コンチネンタル、シーメンス、バイエル、ダイムラー、BASF、DHLが代表的で、自動車産業だけでなく化学、医薬品、電機電子など幅広い産業に及んでいる。ドイツ系自動車メーカーとしては、VWがメキシコで50年以上の歴史を持ち、プエブラ工場では「ビートル」「ゴルフ」「ジェッタ」「ティグアン」を合計で年間約40万台生産し、シラオ工場ではエンジンを生産している。また、アウディが2016年にプエブラ州の新工場を稼働させた。COMPASが2018年にアグアスカリエンテス州でメルセデス・ベンツブランドを生産するほか、2019年にはBMWがサンルイスポトシ州で「3シリーズ」を生産する予定だ(2014年7月11日記事参照)。ドイツ系自動車メーカーを支える部品メーカーはCAMEXA会員だけでも約270社に上り、VWやアウディが拠点を置くプエブラ州のほかケレタロ州、トラスカラ州、メキシコ市などに集積している。

販路開拓支援に向けた商談会の開催も検討

今回商談会に参加したA社は「商談会を通じてドイツ系サプライヤーの高い技術を把握でき、今後の現地調達の検討に役立てたい。こうした機会を継続してほしい」と今後のビジネスの可能性を示した。また、B社は「普段接点のないドイツ系サプライヤーとのビジネスマッチングは大変役に立った。今後は日系部品メーカーが米国系やドイツ系など外資系自動車メーカーへ売り込む商談会をお願いしたい」と期待を述べた。

CAMEXAのアンドレアス・ミューラー事務局次長は「今回はジェトロとCAMEXAによるメキシコで初めての協力事業で、メキシコ自動車サプライチェーンにおける日本とドイツの連携協力の第一歩となった。今回は日系自動車メーカーや一次部品メーカー(Tier1)とドイツ系部品メーカー(Tier1およびTier2)の商談会だったが、次の機会にはドイツ系自動車サプライチェーンへの日系部品メーカーの参入に向けたビジネスマッチングを検討したい」と今回の商談会を評価し、抱負を語った。なお、ジェトロでは日系部品メーカーなどのニーズを踏まえつつ、ドイツ系など外資系自動車メーカーやTier1への販路開拓支援を目的とした商談会の開催を検討している。

(注)バヒオ地域:アグアスカリエンテス州、グアナファト州、ケレタロ州、サンルイスポトシ州、ハリスコ州北部。

(半澤大介)

(メキシコ)

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