神戸市、アフリカとのビジネス関係強化目指す-研究会発足、地元企業に情報発信-

(日本、アフリカ、エチオピア、ルワンダ)

中東アフリカ課、神戸発

2017年04月13日

 神戸市はジェトロの地域間交流支援(RIT)事業を活用してアフリカのルワンダと情報通信技術(ICT)産業分野で交流を深めており、ジェトロは神戸市などと協力して2016年10月に「第2回アフリカビジネスセミナー」を開催した。このような背景から、神戸において今般「アフリカビジネス研究会」が発足し、地元企業などにアフリカ情報を発信していく予定だ。第1回研究会の様子と神戸市の新たな取り組みを報告する。

ジェトロ調査結果と、JICAや内閣府の取り組みを説明

神戸市はジェトロのRIT事業を活用し、ルワンダとICT産業分野で交流を深めている。ジェトロは神戸市などと協力して2016年10月17日に「アフリカンドリームを関西に! 第2回アフリカビジネスセミナー」を開催した(2016年11月9日記事参照)。このような背景から、3月27日に神戸市で開催された第1回アフリカビジネス研究会には、地元企業や大学関係者ら約50人が参加した。ジェトロ、国際協力機構(JICA)関西、神戸市、内閣府(登壇順)から4人が講演し、活発な質疑応答も交え、研究会は約3時間にわたった。

ジェトロ海外調査部の小松崎宏之主査は、アフリカの経済概況や企業動向、進出日系企業のアンケート調査結果やジェトロが最近実施した調査レポートを紹介した。

JICA関西所長の大西靖典氏は、2016年に開催された第6回アフリカ開発会議(TICAD VI)の概要やJICAの民間セクター開発支援などを説明したほか、自身が赴任していた東アフリカのタンザニアの魅力を紹介した。

内閣官房副長官補付企画官の吉岡孝氏は、日本政府のインフラ輸出促進や地域別の取り組み、今後のアフリカ支援策を説明した。

参加者からは「現地企業の買収などを考える際の情報源は何がよいか」といった質問があり、ジェトロが実施しているアフリカ企業調査の活用などが提案された。

写真 第1回研究会の様子(ジェトロ撮影)

神戸市は5月にルワンダの国際会議に参加へ

神戸市は「ビジョン2020」を策定しており、その一環でジェトロ、JICA、神戸情報大学院大学と共に、ルワンダのICT産業分野を中心にアフリカとのビジネス交流に取り組んでいる。

研究会に登壇した神戸市医療・新産業本部担当課長の多名部重則氏は、5月10~12日にルワンダの首都キガリで開催される「トランスフォーム・アフリカ・サミット2017(TAS2017)」に神戸市としてブースを出展すると発表、地元企業の参加も歓迎するとした。TAS2017は国連やスマートアフリカ・アライアンスが開催するもので、ICTを使ってアフリカの開発をどのように進めるかをテーマにした国際会議だ。

また多名部氏は、4月から1年間、エチオピア農業省出身のハサン・ケデュール・エドリス氏を任期付職員として採用することも紹介した。同氏は「アフリカ神戸リエゾンオフィサー」として、アフリカ各国との連絡調整に当たる。同氏はこの日の研究会に参加して自己紹介し、出席者に今後の活躍を誓った。

写真 神戸市に採用されたエドリス氏(写真右、左は久元喜造神戸市長)(神戸市提供)

アジアや欧米との交流に取り組む地方自治体は多いが、アフリカに力を入れる神戸市の取り組みは全国的にも珍しく、画期的だ。将来にわたるアフリカの人口増加や市場拡大の魅力はよく指摘されるところで、神戸市は長期的な視野でアフリカとの関係強化を目指しているといえる。同研究会では今後、アフリカの専門家や企業関係者らを招いて議論を深める予定だ。

(小松崎宏之)

(日本、アフリカ、エチオピア、ルワンダ)

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