日本酒需要、シカゴでも拡大の兆し

(米国)

シカゴ発

2017年04月06日

 米国中西部にあるシカゴは、東西両海岸に位置するニューヨーク、ロサンゼルスに次ぐ米国第3の都市でありながら、両都市と異なり、これまで日本酒や日本食材の顕著な広がりがみられなかった。しかし、ここ数年はインターネットの発展などに伴い、日本酒の需要が拡大しつつある。日本酒に対する業界の見方やジェトロの支援内容などを紹介する。

<年間1~2割の売り上げ増が見込まれる日本酒>

 センサス局(2015年)によると、シカゴのあるイリノイ州のアジア系住民の人口は79万人だが、ロサンゼルスがあるカリフォルニア州の652万人、ニューヨーク州・ニュージャージー州合計の283万人と比べると少ない。また、人口の77%を占める白人層は、食に関し保守的傾向が強いとしばしばいわれる。1900年代初頭、シカゴ周辺には食肉加工場が多かったという背景から、現在でも肉を食べる文化が根付いている。シカゴのダウンタウンには日系食材専門店がなく、日本食のプレゼンスはそれほど高くない。

 

 全米有数の規模を誇る酒類ディストリビューターのブレイクスルー・ビバレッジ・グループの傘下で、シカゴを中心とするイリノイ州の流通を手掛けるテンジン・ワイン・アンド・スピリッツの担当者は、ここ3~4年の間、日本酒の売り上げは毎年10%程度の伸びで推移しており、着実にその需要が広がっている、との見方を示す。同業のバイン・コネクションの担当者も、日系レストランのみならずアジア系や米系レストランへの納品がシカゴにおいて増えている、と話す。また、バーテンダーやソムリエに対する日本酒の教育〔日本酒の取り扱い方法や、ペアリング(組み合わせ)などの知識〕と併せて売り込めば、日本酒マーケットの開拓途上であるシカゴで年間1~2割の売り上げ増が見込めるとの感触を持っているという。

 

 シカゴにおける日本酒の需要増の理由としては、第1に、日本酒の認知度が向上したことが挙げられる。近年のインターネットの発達、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の利用増により、「日本酒」「Sake」を紹介するコンテンツが増え、日本酒の知識に触れる機会が増大している。日本酒を知った上で、実際に「試す」消費者が増えたことが、売り上げ増の理由の1つと考えられる。第2に、食に関する保守的傾向が徐々に崩れ始めていることが挙げられる。保守的ではなく多様性を求めることは、購買力があり、マーケティング上で重要な「ミレニアル世代」(1982~2000年生まれ)の特徴とされている。

 

<現地のイベントに200人超が来場>

 ジェトロは2月24日、シカゴ総領事館および日本酒造組合中央会と共催で、日本酒イベントをシカゴ市内で開催した。日本酒をより身近に、より気軽に感じてもらうことを目的に、商談会や試飲会、セミナーを実施した。セミナーでは、日本酒の基礎知識やレストランなど店舗での取り扱い方法のほか、西洋料理(チーズなど)とのペアリングの実演などにより、日本酒の幅広い可能性を紹介した。

 

 イベントには200人を超える来場者があり、多くの反響が得られた。日本から参加した出展者の間では、シカゴにおける日本酒普及について、想定より確かな手応えを感じたという意見が大半を占めた。

 

(笠原健)

(米国)

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