到着時査証、オンライン申請システムの運用開始

(ナイジェリア)

ラゴス発

2017年04月05日

 ナイジェリア入国管理局は3月22日、外国人が到着時査証を取得するためのオンライン申請システムの運用を開始した。到着時査証取得に必要となる事前許可証を原則48時間以内に発行する。批判の多い査証取得手続きを迅速化し、ビジネス環境の改善につなげる狙いがある。

ビジネス環境の改善が目的

到着時査証は、ナイジェリアに渡航する外国企業の幹部や、緊急の渡航のため在外ナイジェリア公館での査証取得が間に合わない人などを想定したもので、以前からあった。到着時査証とはいうものの、事前申請による許可証の取得と手数料が必要で、到着した空港で渡航時に許可証と手数料レシートを示し、査証を取得する仕組みだ。

新システムは外国人企業家らの往来を促すことを狙ったもの(注1)。これまでは許可証の取得に1週間程度要していたが、新システム導入により原則48時間以内で取得できるようになる。申請に必要なパスポートのコピーやナイジェリア国内の機関が発行した招聘(しょうへい)状もオンラインで提出する。

ナイジェリアの査証発給手続きは概して評判が悪く、特に南アフリカ共和国など一部の国のナイジェリア公館では、明確な理由なく査証発給が拒否されることも少なくないという。こうした悪評はナイジェリアのビジネス環境の評価を下げる一因にもなっており、2016年11月に発足した大統領直轄の事業環境改善評議会(PEBEC)は、入国手続きの簡素化を重点課題の1つに挙げていた。

同評議会のメンバーであるオケチュク・エネラマー産業貿易投資相によると、到着時査証とは別に、政府は1月下旬、在外ナイジェリア公館に対して原則48時間以内に査証を発給するよう指示している。このほか3月には出入国カードも簡素化するなど、対策を急いでいる。

在外公館では厳格化の傾向も

しかし、政府が在外公館に発給手続き迅速化を指示した1月下旬以降も、一部在外公館でビザ取得が困難な状況は続いている。また、これまではモノクロでも受理されていた招聘者のパスポートと在留許可証のコピーがカラーでないと受理されないなど、運用規則を厳格化した公館もある。査証発給までの時間を迅速化する一方で、提出書類の要件などはむしろ厳しくなっているようだ。外国人企業家らの往来を活発にしたいものの、危険分子の流入や不当な滞在には厳格に臨むという従来の姿勢も残っていることが背景にありそうだ。

入国管理局は2015年9月に、年間に通算57日以上滞在する外国人には、査証の有効期間内であっても、期間に応じて滞在期間延長の手数料を支払うことを義務化し、延長せず滞在した場合は罰金を支払わなければならなくなった(注2)。この制度導入の背景には、短期の商用査証などでの入国を繰り返し、実際は業務に従事している中国などからの労働者を排除することがあるといわれている。

(注1)入国管理局ポータルサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの「Visa on Arrival Program」より申請画面に移れる。

(注2)年間の通算滞在日数が57~90日の場合の延長手数料は200ドルで、延長しなかった場合の罰金は400ドル。91~180日では手数料1,000ドル、罰金2,000ドル、181日以上では手数料2,000ドル、罰金4,000ドルが科せられる。

(宮崎拓)

(ナイジェリア)

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