2016年の乗用車新車登録台数は25.1%増-1位に躍進のスズキのシェア11.7%、「ビターラ」が人気トップに-

(ハンガリー)

ブダペスト発

2017年03月06日

 2016年の乗用車新車登録台数は前年比25.1%増となった。最も人気のあるブランドはスズキで、同社のスポーツ用多目的車(SUV)「ビターラ」は75.1%の伸びだった。新車商用車も政府の中小企業向け融資により21.8%増と好調。中古車登録台数は15.8%増と引き続き高い水準となっている。

<スズキの販売、法人向けでも成功>

 民間調査会社データハウスの発表によると、2016年の国内の乗用車新車登録台数でトップになったのはシェア11.7%のスズキで、前年比50.2%増の11,266台だった(表1参照)。2位はフォードでシェア9.9%、25.6%増の9,519台、3位がオペルでシェア9.7%、6.1%増の9,375台だった。

 

 日系ブランドではトヨタが41.9%増(5,509台)で順位は前年と変わらず6位。日産は1.9%増(3,400台)で順位は1つ下がって10位。ホンダは58.9%増(1,990台)で順位を3つ上げ16位となった。韓国メーカーでは起亜が25.0%増(3,920台)で順位を1つ上げ9位、現代は75.6%増(3,164台)で5つ順位を上げ11位となっている。

表1 ブランド別乗用車新車登録台数

 登録台数をモデル別にみると、1位はスズキ「ビターラ」の6,538台で前年比75.1%増だった(表2参照)。20153月に生産が開始され、前年2位から順位を上げた。2位はシュコダ「オクタビア」の5,283台で11.0%増。3位はフォード「フォーカス」の2,856台で14.7%増。4位はダチア「ダスター」の2,710台で56.0%増となった。

 

 スズキは12日付プレスリリースで、2016年の販売が2009年以来の好調だった理由について、(1)ハンガリーで生産する「ビターラ」と、2015年にマイナーチェンジした「SX4 SCross」が個人のSUVの需要にうまく乗ったこと、(2)小型車(Bセグメント)で「スイフト」が最も売れた車種となったこと、(3)個人だけでなく法人向けの販売にも成功したこと、を挙げている。この好調な乗用車の新車販売に関し、週刊経済誌「HVG」は20166月号で「必ずしもハンガリー国内で利用されているわけではない」と指摘。外国人が安い通貨フォリントを利用し、ハンガリーの法人を通じて購入した車を輸出するケースが10%、人気車種ならその割合が30%になる可能性があるとしている。

表2 モデル別乗用車新車登録台数

<商用車販売を中小企業向け融資が後押し>

 商用車の新車登録台数は前年比21.8%増の21,333台となった(表3参照)。1位はフォードでシェア26.1%の21.1%増(5,572台)、2位はフィアットでシェア13.3%の15.0%増(2,828台)、3位はフォルクスワーゲン(VW)でシェア9.0%の51.4%増(1,918台)となっている。

 

 フォード・ハンガリーのサモシ・ビクトル社長は20161210日付プレスリリースで、「2016年の当社の売り上げが好調だったのは、売り上げの40%を占めた商用車の販売がハンガリー国立銀行の中小企業向け融資によって大きく後押しされた結果だ」と分析した。中央銀行である国立銀行は市中銀行に金利0%で貸し出し、市中銀行は最大金利2.5%で中小企業向けに融資している。ビクトル社長は、2017年も個人・法人ともに順調な伸びを見込んでおり、特に個人購入の伸びに期待している。

表3 ブランド別商用車新車登録台数

<中古車の伸びは年々低下>

 一方、中古車の登録台数は14万2,002台の前年比15.8%増で、2014年の36.8%増、2015年の26.8%増と伸び率が年々下がってきている。データハウスの統計では、登録されている中古車数は中古輸入台数にほぼ等しい。ハンガリー自動車協会のガブリニ・ガーボル氏は1月の経済誌「Figyelo」で、「2017年の中古車輸入台数は賃金上昇の影響と高額になる中古車の修理費により減少していくと見込んでいる」としつつ、「既に中古車は市場にあふれており、その多くは車齢15~20年となっている。外国では下取りにも出せないような古い車が安く輸入されており、排ガスが大気汚染の一因となっていることから、自動車税を現在の馬力ではなく、環境負荷の度合いによって決める仕組みに変える必要がある」と述べている。

 

(バラジ・ラウラ、三代憲)

(ハンガリー)

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