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投資奨励法を改正し手厚い恩典を付与-BOI発表の新投資政策(3)-

(タイ)

バンコク発

2017年03月15日

 タイ投資委員会(BOI)の権限などを規定する投資奨励法の改正が、1月24日に官報で公示され、同日施行された。また、別法として、特定産業競争力強化法が2月13日に施行されている。連載の最終回は、改正された投資奨励法について解説する。

<最長13年間の法人税免除が可能に>

 今回の改正の最大のポイントとして、BOIは奨励事業に対し、最長13年間の法人税免税恩典を付与することとなった。13年間の法人税免税が与えられる事業は、BOIが定める高度な技術(BOIは「ターゲット・コア・テクノロジー」と呼んでいる)や技術革新を利用する事業、研究開発事業とされている。

 

 また、奨励企業の法人税減免額を算出する損益計算方法は、会計基準が示されている歳入法に従うことが明記された。これまで1つの企業内で、投資恩典事業(BOI事業)と非投資恩典事業(非BOI事業)がある場合、損益の通算方法について歳入局とBOIの見解が分かれていた。見解の相違が原因となり、多額の追徴課税を受けた日系企業の裁判では、2016年5月16日の最高裁判所の判決により、BOI側の主張が退けられた。今回の投資奨励法の改正では、同法にこうした判例が反映され、計算方法の明確化が図られた。

 

<法人税免除期間後半年内の配当も免税に>

 BOI奨励企業が法人税免税期間中に配当を行った場合、配当についても免税とされている。しかし、免税期間の最終年の利益からの配当は、基本的に会計年度終了時に免税期間が終了し、数ヵ月してから開催される株主総会後に実施される。このため、法人税免税期間中の利益を、免税期間が終了した後に配当することになり課税対象となってしまう。この問題を解決するために、「法人税免税期間終了後、6ヵ月以内に配当を行った場合、配当金についても免税とする」という文言が加えられた。

 

<BOI本委員会の機能停止防ぐ条文も>

 首相を委員長とするBOIの本委員会は、首相が任命する10人以下の委員と5人以下の顧問から構成されている。本委員会では、投資奨励業種の決定、土地と運転資金を除いた投資額が7億5,000万バーツ(約24億円、1バーツ=約3.2円)超の案件の審査、同2億~7億5,000万バーツの投資案件を審査する小委員会の設立・権限委譲などを行う。各委員と顧問の任期は2年間と定められていた。

 

 しかし、2014年の政治混乱の際、本委員会を開催できないまま委員の任期が切れてしまったため、2億バーツを超える投資案件の審査手続きが停止する事態が起きた。それを踏まえ、今回の改正では「新委員、顧問が任命されていない場合、旧委員は新しい委員と顧問が任命されるまで地位を維持し、業務を行う」と明記された。

 

<研究開発用の物品は輸入税を免税>

 また、より高度な産業を誘致するために、研究開発または関連する試験用に使用する物品の輸入税の免税を奨励企業に付与できる権限がBOIに付与された。BOIが詳細を決定することが法律に明記されている。

 

<特定産業に対する恩典を整備する新法制定>

 さらに、タイ政府は国家的な課題に対応するため、タイランド4.0政策に基づき、従来は誘致できなかったインパクトの大きい新たな投資を呼び込む特定産業競争力強化法という新法を制定し、2月13日に施行した。同法はBOIの管轄となるが、投資奨励法に基づく委員会とは別に、新たに首相を委員長とした委員会を設置する。同法に基づく奨励を希望する企業は、委員会との交渉によって恩典が決定されるという仕組みだ。ヒランヤー長官は「対象産業に対して、最長15年間の法人税免税恩典に加え、100億バーツの基金から補助金を支給する」として企業に同法の活用を求めた。しかし、3月13日時点では、まだ詳細は明らかにされていない。

 

<「メリット恩典」を拡充>

 BOIは、2015年1月から実施している7ヵ年投資奨励戦略(期間:2015~2021年)でメリットベース恩典(以下、メリット恩典)を導入している。メリット恩典とは、業種ごとに与えられる基礎的な投資恩典に加えて、特定の活動のために要した費用や投資額について、最初の3年間の収入(売上高)に対する比率または金額によって、法人税の免税額や期間を付与するものだ。

 

 2月15日開催のセミナー「オポチュニティ・タイランド」で、ヒランヤー長官はこのメリット恩典で追加される法人税免税金額を2015年の導入時に比べ、拡充することを発表した(表1参照)。

 

 なお、本件はBOI法の改定とは異なり、法改正とは関係なくBOIの判断でなされたものだが、制度変更という観点から表に記載する。

表1 メリットベース恩典

 メリット恩典で得られる法人税免税期間の追加年数は10年間と変更はない。しかし、BOIが指定するバイオ、ナノ、先端材料、デジタルといった技術開発へ投資する場合、BOIが定める条件を満たせば、1~3年間の追加免税期間を享受することが可能だ(表2参照)。

表2 投資・費用の割合に応じた追加恩典

(長谷場純一郎)

(タイ)

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