2016年の乗用車新規登録台数は17.2%増

(ポーランド)

ワルシャワ発

2017年03月10日

 2016年の乗用車新規登録台数は前年比17.2%増の41万6,000台超となった。伸び率は前年(8.3%)を大きく上回った。メーカー・ブランド別ではフォルクスワーゲン(VW)傘下のシュコダが前年に引き続き1位、VWはトヨタを抜き2位に返り咲いた。また、VWが新型バンの生産を開始したほか、日系企業でもトヨタやマブチモーターが投資を発表するなど、自動車産業が着実に集積しつつある。

<新規登録台数で欧州7番目の市場に>

 ポーランド自動車工業会(PZPM)の発表によると、2016年の乗用車新規登録台数は前年比17.2%増で過去最高の416,123台を記録した。ジェトロは228日にPZPMの広報担当アンナ・ブジョゾフスカ氏に電話インタビューをした。同氏はリース会社の増加を販売増の要因として挙げ、「リース会社は自動車の点検や修理をサービスとして提供しているため、法人としてはさらに自動車リースが利用しやすくなった。それが販売増につながった」と述べた。

 

 ポーランドは2004年にEUに加盟してから乗用車の新規登録台数が徐々に拡大しており、2016年はオランダを抜き、ベルギーに次ぐ欧州7番目の市場となった(図参照)。

図 乗用車新規登録台数の推移(EU加盟国中6~10位を抜粋)

 メーカー・ブランド別にみると、VW傘下のシュコダが引き続き首位だった。2015年にトヨタに抜かれ3位だったVWは、前年比20.5%増を記録し2位に返り咲いた。トヨタは3位になったが、法人向けの販売が好調で前年比14.4%増と堅調に伸びている(表参照)。

表 ポーランドの乗用車新規登録台数

<VWの新型バン生産工場が稼働>

 ポーランド中央統計局(GUS)の発表によると、国内での2016年の乗用車生産台数は約3.7%増の55万5,000台だった。VWは10月末から西部ポズナン近郊のブジェシニアの新工場で、新型の大型バン「クラフター」の生産を開始した。工場長のラルフ・ニツシュケ氏は「2018年には年間10万台の生産を目指す」と話している。

 

 「ポリティカ・インサイト」紙(2月17日)によると、オペルのグリビツェ工場では小型車「アストラV」を中心に、過去最高の生産台数20万1,000台を記録した。同モデルは英国工場でも生産されており、同紙は英国のEU離脱により関税が導入されれば、生産移管の可能性も指摘している。

 

<自動車分野の投資相次ぐ>

 2016年は自動車産業分野での大型投資が続いた。ドイツのダイムラーはポーランド初の生産拠点として、南西部ヤボルにエンジン工場を設立すると発表した。投資規模は5億ユーロになる見込みで、2019年からメルセデス・ベンツ向けのエンジンを生産する予定だ。韓国のLG化学はブロツワフ近郊に電気自動車用のリチウムイオン電池工場を立ち上げ、2017年下期から生産開始を予定している。4,000億ウォン(約400億円、1ウォン=約0.1円)を投資し、700人の雇用創出をする。

 

 日系企業では、トランスミッション・エンジン生産工場を持つトヨタが約170億円規模の追加投資を発表した。欧州で初めてハイブリッド用のトランスアスクルの生産を2018年から開始する。同社は2002年にポーランドで事業を開始しており、累計投資額は約1,080億円となる。

 

 また、マブチモーターは約96億円を投資し、クラクフ近郊に欧州初の工場を設立、2019年操業開始を予定している。

 

(作山直樹)

(ポーランド)

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