日本人研修生やインターン生のビザ取得規則を統一-日本人雇用に伴う「タイ人雇用義務負わない」と明記-

(タイ)

バンコク発

2017年03月21日

 日タイ経済連携協定(JTEPA)の枠組みの下、年1回開催されるビジネス環境小委員会が3月9日、バンコクのホテルで開催された。同委員会は、日本側からタイ側へ投資環境の改善を求めることができる会合となっている。今回の委員会への通知では、企業内研修生および学生インターンのビザと労働許可書の取得についてのルールを一部統一し、明確化した。

<研修生などを増やしたい日本側のニーズに対応>

 在タイ日系企業では、日本の親会社の入社間もない若手社員が、研修生として勤務しているケースがある。企業の国際化に対応して研修生を増やしたいニーズがある一方、ビザの延長時に課される「日本人1人に対してタイ人4人を雇用する義務が発生する」条件が重しとなり、多くの人数を派遣できないという問題があった。また、日本の大学など教育機関に通う日本人学生が、タイ国内でインターンシップ(短期間の就業体験研修)に従事するニーズが高い。こうした企業内研修生やインターン生のビザの取り扱いについては不明な点が多かったが、今回の小委員会で配布されたタイ外務省と雇用局、入国管理局(イミグレーション)の連名による「タイ人雇用義務を負わない」などと明記した文書で、以下のとおり明確化された。

 

 企業内研修生とインターン生は、タイへの入国前に在日タイ大使館または領事館でビザを取得する必要がある。まず、企業内研修生については、タイ企業での短期間の研修の場合は、NonImmigrant Bのビザ(以下、Bビザ)を在日タイ大使館または領事館で取得するために、申請料と併せて以下5点の書類の提出が求められる。

 

1)申請書

2)有効なパスポートのコピー

3)日本での雇用主からのレター(現在の職位、給料、タイへの訪問目的が記載されたもの)

4)タイの受け入れ企業からの招聘(しょうへい)状(タイでの滞在目的、期間を記載)

5)タイでの受け入れ企業の登記関係書類(タイ商務省が6ヵ月以内に発行したもの)

 

 次に、日本の教育機関に通学する日本人学生が、タイにおいてインターンシップを希望する場合は、NonImmigrant EDのビザ(以下、EDビザ)を在日タイ大使館または領事館で取得する。インターン先は民間企業または国際機関で、日本で通学している学校のカリキュラムの一環であることが条件となる。申請料と併せて、申請書、有効なパスポートのコピー、タイの受け入れ機関からの確認レター、応募者の所属する教育機関からのレターが必要だ。

 

<入国後に労働許可書の取得が必須>

 上記の手続きでビザを取得すると、タイ入国時に、イミグレーションで到着日から最大90日間の滞在が許可される。しかし、これは「滞在を許可」されただけであり、実地研修(就労)を行うためには労働許可書〔ワーク・パミット(WP)〕の取得が必須だ。そのため、研修開始前に以下の8つの関係書類を雇用局に提出し、WPを取得する。

 

1WP用の申請書

2)受け入れ企業の雇用証明書

3)パスポートのコピー

4)学歴証明書または要求されるフォームへの記載

5)タイの法律が専門的なライセンスを求めている職業に就く場合は当該ライセンス

6)健康診断書

7)受け入れ企業の登記関係書類(注)

8)派遣元企業からのレター(企業内研修生の場合)

 

 また、企業内研修生またはインターンシップ生がビザの延長を希望する場合、申請料と併せて、ビザ、WP(注:延長が予想されている場合、WP申請時点で研修期間に応じた期間有効なWPを取得)、在タイ日本大使館が発行した一時滞在の延長の要望および確認レターを入国管理局に提出する。1回の延長につき90日間、かつ延長が3回まで認められるため、最長360日間の研修が可能となる。なお、ビザの延長を申請する際には、「日本人1人の雇用に対し、タイ人4人の雇用を求められるのが通例だが、当該研修生の場合、この義務は負わない」と、小委員会に提出された書類に明記された。

 

<追加書類の提出が求められることも>

 前述した各種の提出書類は必要最低限であり、駐日タイ領事など担当官が、追加書類や面接を要求する権利を有していることに注意が必要だ。

 

 学生が交換留学生などの制度でタイの大学に在籍し、長期休暇の期間中に在タイ日系企業でインターンを希望する場合は、日本でのEDビザ申請の際に、タイでの受け入れ大学の就学コースに関連する企業インターン(例:ホテルビジネスを学ぶ学科に留学する場合、当該コースの中でホテルでのインターンが単位取得の条件になっているなど)が記載されている書類の提出が必要となる。同書類が提出されている場合は、WPを取得せずにインターンすることが可能だ。一方、この書類が提出されていないEDビザに対してWPは発給されず、留学期間内に企業インターンに従事することはできない。

 

 今回のルール明確化により、「若手の社員に早く海外を体験させやすくなった」「学生を安心してタイに送り出せる」といった声が聞かれるが、「制度として明確化されたことは評価できるが、実際に申請してみないと本当に問題なく研修ができるか分からない」という不安の声もある。

 

(注)株式会社の場合、同書類に含まれるのは、付加価値税(VAT)登録書のコピー、雇用主が外国人の場合は当該雇用主のWP、雇用主がタイ人の場合は国民登録証のコピー、ファクトリーライセンス、ホテルライセンスなど、受け入れ企業が保持しているライセンス、社会保障の納付書1ヵ月分のコピー、前年度分の決算書類、13ヵ月分のVAT申告書。なお、VAT登録書のコピーについては、登録内容の変更申請をしている場合、当該申請書(ポーポー09)のコピーも提出が必要。受け入れ側が教育機関や政府機関などの場合は、提出書類が異なる。

 

(長谷場純一郎)

(タイ)

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