ジャパンパビリオンに14社・団体が出展-中南米最大級の総合食品見本市ANTAD-

(メキシコ)

メキシコ発

2017年03月31日

 中南米最大級の総合食品見本市「ANTAD」が3月7~9日、メキシコ第2の都市グアダラハラで開催された。ジェトロは2年ぶりに同見本市に参加、メインエントランスの目の前にジャパンパビリオンを構え、メキシコでの販路拡大を目指す日系企業14社・団体が出展した。出展者は会期を通して活発な商談を行った。

<来場者、出展者ともに2016年を超える見込み>

 ANTADは年に1度開催される中南米最大級の総合食品見本市で、全国スーパーマーケット・百貨店協会(ANTAD)が主催し、小売業界向けの商材が広く展示されるため、食品以外の出展もある。開会式には、エンリケ・ペニャ・ニエト大統領も来場した。同大統領は「ANTADに出展している出展者数をみれば、メキシコがどれだけ経済的に進歩しているかが読み取れる。不安定な世界情勢の中で、今日のANTADの盛況ぶりはメキシコ経済の発展とメキシコの食品輸出能力の成長を証明している」と述べた。

 

 主催者によると、前年の出展者数1,453社、来場者数44,173人をともに超える見込みとしている。展示総面積は55,000平方メートルで、今回は前年と異なり1館全てをインターナショナルパビリオンとし、外国のパビリオンが同じホールにまとめて出展したことが特色だ。また、出展物の特徴としては、オーガニック食品や調味料、高価格帯のアルコール飲料などが多く出品されていた。主催者によると、メキシコの富裕者層が求める食のレベルや健康食品への関心は年々高くなっており、高所得者向け百貨店のリベルプール(Liverpool)、パラシオ・デ・イエロ(Palacio de Hierro)などのバイヤーは富裕者層のニーズを満たすための質の高い商品の調達を主目的に来場したという。海外パビリオンとしては、メキシコと関係が深いスペインが大きなブースを構え、ワインや生ハムなどを出展していた。またアジアでは、非常にシンプルなブースながら中国も比較的大きな規模で出展していた。韓国は日本と同等の規模で出展し、調理デモを取り入れたプロモーションを行っていた。

 

<大きな成果を得たジャパンパビリオン>

 ジャパンパビリオンには14社・団体が出展した。出展品目は茶、調味料、水産物、菓子、加工食品と多岐にわたり、メインエントランスの前という立地もあり、各出展者の商品や試食は来場者の注目を多く集めた。商談が盛況だったのはパビリオンの立地だけではなく、メキシコ人の味覚に合わせた商品を出展したことも理由に挙げられるだろう。例えば、日本茶を出展した企業の1つは、抹茶や緑茶の茶葉や日本人になじみの深い飲み方を提案するだけでなく、抹茶を通常の飲み方よりも水で薄めた紙パック商品を展示した。日本人には薄く感じる味わいだが、乾燥気候のメキシコではさらっとした飲み口がバイヤーに好評だったという。メキシコでは茶は健康食品というイメージが既に広がっているため、ドラッグストアとも活発な商談が行われた。また、調味料の出展者は、通常の展示会で展示する商品に加え、辛いものを好むメキシコ人に合わせた商品も出展したことで、大手スーパーとの成約見込みに至った。

 

 ジャパンパビリオン出展者にメキシコの日本食市場について聞くと、予想以上に日本食が浸透していて驚いたのと同時に、さらなる拡販に向け大きなポテンシャルを感じた、という声が上がった。一方で、日本で好まれるものが必ずしもメキシコで受け入れられるとは限らないため、継続して出展することでニーズを見極めたい、とする声もあった。

写真 ジャパンパビリオン(ジェトロ撮影)

(岩田理)

(メキシコ)

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