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2016年の自動車生産・輸出台数は前年より減少-販売はピックアップトラックの人気上昇で回復-

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2017年02月28日

 2016年の自動車の生産、輸出台数はともに2015年より減少した。しかし国内販売台数は、輸入車の増加とメーカー側の積極的な販売戦略などにより、日系メーカーのピックアップトラックを中心に回復、3年ぶりの増加となるなど明るさもみえてきた。政府は2023年には生産台数を100万台に増やすことを目標にしている。

<生産が1割減、輸出も2割減に>

 アルゼンチン自動車製造協会(ADEFA)の発表(1月4日)によると、2016年の自動車生産台数(大型トラック・バスを除く)は前年比10.2%減の47万2,776台となった(表1参照)。2016年11月以降は回復しつつあることから業界では安心感も広がっている。

表1 自動車生産、輸出、販売台数の推移

 輸出台数は前年比20.8%減の19万8台で、同じく3年連続の減少となった。シェアの72.4%を占める最大の輸出相手国ブラジルには13万7,649台が輸出されたが、前年比25.5%減と落ち込んだ(表2参照)。ブラジル経済の低迷による需要の縮小が主な原因とみられる。一方で、メキシコ向け輸出は前年比23.1%増、チリ向けも36.0%増となった。

表2 国・地域別輸出台数

 アルゼンチン自動車販売代理店協会(ACARA)によると、2016年の国内自動車販売台数(新車登録ベース、重・軽商用車およびその他大型車を含む)は70万9,482台で前年比10.2%増加した。3年ぶりの販売回復を促した要因としては、メーカー側が打ち出した大幅値下げなどの販売戦略に加え、為替の動向や輸入規制の緩和によって国内販売向け輸入車が増えたことが挙げられる。関連団体側は輸入車の台数を公表していないが、2016年中に46万6,209台の輸入車が登録されたといわれている。「エル・クロニスタ」紙(2016年12月26日)によると、国内で販売される自動車の約41%は国産車、49%はブラジル産、5.4%がメキシコ産、4.3%はその他で、60%近くが輸入車とのことだ。

 

<トヨタのピックアップトラックが人気>

 メーカー・ブランド別の販売台数では、フォルクスワーゲン(VW)が前年比8.0%減となったものの、依然として首位を保った(表3参照)。トップ5はゼネラルモーターズ(GM)系列のシボレー、ルノー、フォードと続き、トヨタが前年比16.1%増の7万5,905台で、フィアットを抜いて5位となった。ホンダ1万48台(前年比79.7%増)、日産9,019台(21.2%増)、スバル230台(2.7倍)、スズキ128台(3.3倍)で、三菱自動車(401台、25%減)を除いて日系メーカーは販売好調だ。

表3 メーカー・ブランド別自動車販売台数(新車登録ベース)

 ACARAによると、2016年に最も売れたのは、トヨタが国内生産しているピックアップトラックの「ハイラックス」(3万1,964台、前年比15.8%増)で、フィアットの小型ハッチバック「パリオ」(2万9,109台)、VWの「Gol」(2万6,897台)と続いた。小型商用車の販売が価格の低い乗用車を上回るのは初めてという。

 

 ハイラックスをはじめ、ピックアップトラックの人気が上昇しているのには、幾つかの要因がある。まず、政府が2016年初めに実施した輸出税の減免措置が農業や鉱業分野の生産を高め、これらの分野で小型商用車の需要が拡大したことだ。また、国内の主要農業産地の道路は老朽化したところが多いため、悪路での走行に向いた車のニーズを高めているとの見方もある。さらに、小型商用車は業務用資産と見なされ、国産ならさらに税制優遇も受けられる。日産の「フロンティア」も1,341台と売れ行きは好調だった。

 

<2023年に100万台生産が政府の目標>

 政府は、国内の自動車関連産業を活性化したい考えだ。そのためにまず、2016年8月1日付の官報にてアルゼンチン自動車部品産業の開発と強化制度、通称「自動車部品法」(法律第27263号)を公布した。同法は自動車部品の現地調達率を定め、達成できた自動車メーカーが税金の支払いのための融資などが受けられると規定している。部品調達率は、乗用車30%、商用車25%、エンジン15%で、国内で入手した部品は価格の4~15%の税優遇措置が受けられる。

 

 一方、2016年12月30日付の政令1347/2016号によって、自動車や二輪車に課される内国税の課税対象となる最低金額が8.5%引き上げられた。国内価格が38万ペソ(約274万円、1ペソ=約7.2円)以上の自動車には10%、80万ペソ以上の場合は20%が課される。同政令の有効期限は2017年6月30日までとされている。現状で、国産車で課税対象となっているのは高級車とされるトヨタの「SW4」、メルセデス・ベンツの「Vito」、ホンダの「HR-V」などだ。

 

 政府はまた2017年1月に、自動車・部品メーカー、関連団体、労働組合など代表を集め、自動車産業の成長を目指すための協議を開始し、工業生産省は「100万台計画」案を準備中だ。同計画案は、生産台数を2019年に75万台、2023年には100万台を目標に拡大を目指すもので、国際基準を尊重しながら、部品の現地調達率を現在の25%から2019年に35%、2023年には40%に引き上げることも目指す。今後、新たな輸出先の開拓に加え、2019年までに50億ドルの投資を誘致するとともに、労働問題の改善や欠勤率の低減など策にも取り組む。

 

 ADEFAのルイス・サエンスペーニャ会長は、自動車産業の競争力の強化や長期的な成長を見据えつつ、政府の取り組みを歓迎する、と述べている。今後は、生産性向上、従業員育成、税制、現地調達、ロジスティクスコスト、新たな市場開拓などの課題に政府と一体となって取り組んでいきたいとしている。

 

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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