日本国籍者の企業内転勤、滞在許可の選択が可能に

(オランダ)

アムステルダム発

2017年02月07日

 2016年11月29日からオランダで導入されているEU企業内転勤に伴う滞在許可制度は、日本人駐在員が通常取得する既存の滞在許可カテゴリーである「知的労働者」に比べ滞在許可期間が大幅に短縮されるため、日系企業から批判が出ていた。経済省企業誘致局(NFIA)は、日本国籍者は引き続き滞在許可「知的労働者」を選択できると発表した。

<外資系企業はこれまで「知的労働者」カテゴリーを利用>

 オランダの企業内転勤(ICTIntra Corporate Transfer)制度は、2014年のEU指令(Directive 201466EU)に基づき、20161129日から導入された。EU指令は、一定の条件を満たす企業内転勤者に対して、発行国以外のEU加盟国の同一企業内グループでの就労を認めるICTパーミットを発行するもので、EU域外の高度人材を域内で働きやすくし、域内企業の競争力を高めることなどを目的にしている。

 

 オランダのICT制度では、(1EU域外からオランダへの同一企業内グループへの転勤であること、(2)マネジャー、スペシャリスト、研修員であるここと、(3EU域外企業との雇用契約が継続していること、(4)申請時の主たる住所がEU域外であること、などの条件を満たす場合、オランダ国内のみで就労する場合であってもICT制度での労働・滞在許可の申請が義務付けられている。

 

 オランダの既存の滞在許可制度のカテゴリー「知的労働者」取得の条件は、(1)受け入れ企業がオランダ入国管理局(IND)に登録されている承認スポンサーで、(2)給与条件をクリアしていることとされ、手続きが簡素化されている。また最長5年の滞在許可が発行されることから、多くの日系を含む外資系企業が本制度を活用している。

 

 しかし、ICT制度導入後は、条件に合致する場合はICT制度での申請が義務付けられ、「知的労働者」の申請はICT制度の対象条件に合致しない場合のみ可能とされていた。

 

 ICTパーミットでは、オランダ以外のEU加盟国での就労が容易になること、承認スポンサーではない受け入れ企業でも申請が可能なこと、などのメリットがある。一方、労働・滞在許可は最長3年(研修員は1年)で、更新ができない(再申請には域外で6ヵ月以上滞在することが必要)ため、「知的労働者」の最長5年と比べて短い。

 

<日本国籍以外の日系企業従業員は注意が必要>

 EU指令では、ICTの最長労働・滞在許可期間である3年を超える滞在は、滞在国でICT以外の滞在許可を取得すれば可能と規定されている。オランダでは、ICTから別の滞在許可に切り替える場合には、EU域外企業との雇用契約からオランダ国内での雇用契約に切り替える必要がある。

 

 オランダ国内の雇用契約に切り替えた場合、日本の事業所との雇用関係の継続が条件となっている日本の社会保障への加入が継続できないため、従来は5年の滞在が認められていた駐在員の任期が実質的に3年に限定されるとして、日系企業から批判が出ていた。

 

 NFIAの発表によると、日本国籍者については日蘭通商航海条約に基づき、ICTの対象条件に合致していても、知的労働者ビザの申請が可能となる。またICTパーミット取得者であっても、雇用契約の切り替えなしで知的労働者ビザの申請が可能となった。オランダ以外のEU加盟国の同一企業グループでの就労も予定している場合にはICT制度で申請し、就労はオランダのみで3年を超える派遣を予定している場合は既存の滞在許可を申請するなどの柔軟に活用できる。

 

 IND201612月時点で、日本国籍者はICT制度の対象であっても、日蘭通商航海条約に基づきICT制度での申請は義務ではなく、既存の滞在許可を選択できるとしていた。一方で、知的労働者ビザは利用できなくなるとの見方もあり、解釈について日系企業を混乱させていた。INDの正式発表はないものの、ジェトロの問い合わせに、INDは「日本国籍者がICT制度または知的労働者ビザを選択できることは決定事項だ」と回答している。しかし、日系企業の日本国籍者以外の従業員については、転勤でICT条件に該当する場合、滞在許可は3年に限定されるため、注意が必要だ。

 

(岡田茂樹)

(オランダ)

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