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通関の電子化・自動化や認定事業者の対象を拡大-ロシアなどがEEU関税基本法に署名-

(ロシア、ベラルーシ、カザフスタン、キルギス、アルメニア)

モスクワ発

2017年01月25日

 ユーラシア経済連合(EEU)関税基本法が2016年12月26日、ロシアのサンクトペテルブルクで行われた最高ユーラシア経済評議会で署名された。2017年7月の発効を目指す。同法は、通関申告の電子化・自動化、認定事業者の拡大などを通じて通関手続きの一層の簡素化を図ろうとするもの。他方、法律の内容が一般事業者には難しく、また、加盟国間で平等に利害が調整されるか、などの問題点も指摘されている。

<各国の批准後、2017年7月の発効目指す>

 EEU関税基本法案は2016年11月にモスクワでのEEU国家間評議会で全てのEEU加盟国(ロシア、ベラルーシ、カザフスタン、キルギス、アルメニア)に承認された。ロシア、カザフスタン、キルギス、アルメニアの4ヵ国首脳は2016年12月26日、サンクトペテルブルクで開催された最高ユーラシア経済評議会で同基本法に署名した。同評議会を欠席したベラルーシのルカシェンコ大統領は、後日署名する予定だ。今後、各国での批准を経て、2017年7月1日の発効を目指す〔ユーラシア経済委員会(EEC)ウェブサイト12月26日〕。

 

 EEU関税基本法の作成に当たって、EEU加盟国の専門家約400人(関係省庁、ビジネス団体を含む)が作業を行い、全61章、465の条文から成る法令が出来上がった(添付資料参照)。

 

<EEU域内のルールやサービスに取り組み>

 2016年12月16日に法律関連ポータルサイト「プラボ・ル」が主催したEEU関税基本法に関するカンファレンスにおいて、EEC通関法制執行局長のドミトリー・ネクラソフ氏は、EEU関税基本法は、a.通関申告の電子化(トランジット、個人所有物、トラック運送利用、郵便、輸送・商業書類添付の場合を除く)、b.申告の登録、審査、貨物のリリースなどの通関手続きの自動化、c.通関申告時における各種証明書類提出の省略、d.通関リードタイムを8時間から4時間に短縮すること、などに重点を置いていると述べた。

 

 また、本基本法は、a.複合一貫輸送(注1)のルール、b.EEU域内に輸入された全商品の域内各国での使用、c.EEU領域から出国する場合だけでなく、入国時や域内移動の場合にも免税品の購入を可能とすること、d.国際自動車輸送サービスを利用した域内輸送への取り組み、についても触れている。

 

 このほか、事前教示制度(注2)がさまざまな事項(課税標準価格を含む)を対象に適用されることになり、電子媒体での事前情報をトランジット申告書と同等のものとして提出することが可能になる。

 

 さらに、本基本法の枠内で通関業者(通関ブローカー)に関する制度変更も行われ、通関業者は依頼主の財務保証も担うことになる。ただし、通常は、連帯保証責任を負うわけではない。

 

 認定事業者(AEO)制度への影響もみられる。AEO制度は、貨物の安全管理と法令順守の体制が整備された事業者に対し、税関手続きの緩和や簡素化を認める制度だ。これまでは輸出入者(通関申告者)のみAEO資格を取得できたが、EEU関税基本法では、通関事業者、保税倉庫所有者、輸送業者もAEOとなることができるようになる。AEO制度はEEU加盟各国で相互認証が行われる。

 

 AEOは通関手続きにおける特例措置を受けられるが、本基本法では、さらに、貨物の遠隔リリース(注3)、通関申告書提出前の貨物のリリース、税関許可なしで荷降ろしや積み替えが可能になるなど、手続きの一層の簡素化が図られている。

 

<幾つかのデメリットも指摘>

 EEU関税基本法の発効後、EEU領域国境を越える電子商取引の免税範囲を段階的に縮小する計画もある。現在、ロシアにおける免税範囲は、1ヵ月当たり、金額で1,000ユーロ以下、重量で31キロ以下であり、超過分については30%の関税(ただしキロ当たりの税額の下限を4ユーロとする)を適用している。これが、同基本法の発効から1年後には、1ヵ月当たりの免税対象額を500ユーロに引き下げる(超過分に適用される関税率は現在と同じ)。2年後には、取引頻度を問わず免税対象額を200ユーロに引き下げ、超過分の関税率を15%、ただしキロ当たりの税額の下限を2ユーロにするという提案がなされている(インターファクス通信2016年12月5日)。

 

 このほか、EEU関税基本法には幾つかのデメリットも指摘されている。例えば、(1)内容が難しい法律用語で書かれているため一般の事業者にとって理解するのが難しいこと、(2)一定の部分が詳しく記載されている一方、明確に書かれていない箇所もあること、(3)特定の加盟国が提示した政策を全加盟国で実現するのが困難であること、(4)ルール違反をした場合の行政違反基本法がEEU加盟国間で異なること、などだ。

 

(注1)同一の輸送会社が2つ以上の異なる輸送手段を使い、貨物の引き受けから引き渡しまで一貫して輸送すること。

(注2)貨物を輸入する前に税関に、当該貨物の関税分類番号(税番)、原産地、関税評価および減免税についての照会を行い、その回答を受けることができる制度。

(注3)国境に隣接した税関ポストが実際の貨物の管理(輸入、保管など)を行い、輸出入事業者が登録場所近くの税関で書類手続き(申告・リリースなど)を実施するなど、貨物管理と書類手続きを別々の場所で実施すること(ロシア連邦税関局ウェブサイト2016年7月16日)。

 

(ワレリー・エスキン)

(ロシア、ベラルーシ、カザフスタン、キルギス、アルメニア)

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