外国人就労許可の新制度、10地域で試験運用始まる-許可証を一本化し、人材の分類などを導入-
(中国)
青島発
2016年12月20日
11月1日から山東省を含む10地域で外国人の就労許可新制度の試験運用が始まった。山東省で外国人の就労が最も多い青島市の人力・社会保障局に、新制度の背景と方針、統一される外国人就労許可証の取得条件(特に満60歳以上の場合の取得可能条件)、有効期限、延長手続きなどについて聞いた。
<2017年4月から全国で運用の予定>
就労ビザを取得して中国に居留・勤務する場合、赴任前に中国当局から就労許可を得る必要がある。就労許可に関する「中国における外国人の就労についての管理規定」は既に20年が経過しており、その間、中国で就労する外国人が急増し、より厳格に管理する必要が出てきた。また中国は「製造大国から製造強国へ」をスローガンに産業のグレードアップを図っている中、ハイレベル人材のニーズが高まってきていることから、これまでの外国人就労許可制度を見直す必要が出てきた。今回、新制度の試験運用が始まった10地域で就労している外国人数は中国全体の8割以上を占めている。11月1日から2017年3月までの5ヵ月間を新制度の試行期間とし、2017年4月1日から全国で運用を開始する予定だ。
新制度は従来の制度に比べ、提出資料の簡素化およびオンライン申請による利便性が向上したほか、「外国人就労証」と「外国専門家証」を「外国人就労許可証」に一本化した。また、外国人就労者をハイレベル人材(A類)、専門人材(B類)、一般人員(C類)に分類し、ハイレベル人材は奨励、専門人材はコントロール、一般人員は制限する方針だ。さらに、学歴、収入レベル、勤務経験、中国における毎年の勤務期間、中国語の語学レベル、年齢のほか、有名企業の従業員、有名大学卒業者、特殊地域(一部の開発途上地域)の就労者、地方経済・社会発展に必要な特殊人材などに該当する場合の加算点などからなるポイント制度を導入する。
<満60歳以上の就労には高いハードル>
これまで外国人は「外国人就労証」を取得するか、あるいは教師や年齢が60歳を過ぎた場合は学歴と職歴の基準を満たせば、「外国専門家証」を取得し、中国での居留・勤務が可能だった。今後は、外国人就労証と外国専門家証が「外国人就労許可証」に統合され、一人一人に終身有効な就労番号が付与される。ハイレベル人材に該当する場合は、年齢、学歴、職歴の制限なく「外国人就労許可証」を取得できるが、専門人材の場合は、年齢制限(18~60歳)、学歴制限(学士以上の学位取得)、職歴制限(2年間以上の勤務経験)およびポイント60点以上が必須条件とされている。これにより、満60歳以上で中国勤務をしようとしても、ハイレベル人材に該当しない限り就労許可を取得するのは困難と考えられる。
<制限が適宜緩和される可能性も>
青島市では2017年3月31日までの試行期間中、オンライン申請後に手続きが必要となる書類の原本の受理窓口は、人力・社会保障局人材交流センターと同局の外国企業服務センターの2ヵ所としている。ハイレベル人材、専門人材、一般人員に対してはそれぞれ有効期限3~5年、1~2年、1年未満の外国人就労許可証を発行する。また、赴任前の年間給与所得が青島市の年間平均賃金〔2015年時点5万3,715元(約91万3,000円、1元=約17円)〕の10倍を超える場合はハイレベル人材(A類)として認定することを検討中だ。A類には該当しないが、直接投資者、企業の経営上どうしても必要な人材である場合は、年齢、学歴、職歴の制限を適宜緩和し、B類として就労許可証を発行する可能性もある。一方、現在「外国人就労証」「外国専門家証」を所持し、期限満了後も中国で勤務を継続する場合、新制度に基づき「外国人就労許可証」への切り替え手続きが必要だ。また今後、「外国人就労許可証」の期限満了まで30日未満の場合は延長手続きを申請できなくなる。
(魯寅萍)
(中国)
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