サイクロン上陸、チェンナイに大きな被害

(インド)

チェンナイ発

2016年12月21日

 インド東部・ベンガル湾沖で発生したサイクロン「Vardah(バルダ)」が12月12日午後、タミル・ナドゥ(TN)州の州都チェンナイ市に上陸した。現地報道などによると、市内は風速140キロの強風に見舞われ、倒木などが相次ぎ、至る所で通行止めとなった。停電や断水のほか、インターネットも不通となるなど、生活・経済面に大きな影響を与えた。

<市内各所で倒木による通行止めや停電が発生>

 サイクロン「バルダ」は12日午後、ベンガル湾に面したチェンナイに上陸、市内は最大風速140キロの強風に見舞われ、倒木が相次いだほか、大型バスやトラックなども横転した。市内の至る所で通行止めとなったほか、多くの道路が冠水した。市内は停電・断水となり、固定電話やインターネットも不通となった。

 

 サイクロンは12日夜にはチェンナイを通過したが、13日は市内各所で倒木による通行止め、停電や断水が続いた。日系を含む多くの企業が1213日を臨時休業とした。なお、チェンナイ国際空港は12日に閉鎖されたが、13日からは再開された。また、大雨に伴う河川の氾濫などは報告されていない。

写真 倒木にふさがれ通行不能になったチェンナイ市内の道路(ジェトロ撮影)

<工業団地の電力は23日までに復旧見込み>

 サイクロン通過後、チェンナイ中心部では電力・水の供給などは徐々に回復しており、当地日系企業の多くも14日から営業を再開している。しかし、日系の工場が多く立地するオラガダムやバラム・バダガルなど郊外の多くの工業団地では停電が続いており、自家発電装置で対応している状況だ。

 

 これらの地域の電力復旧状況について、ジェトロがTN州送電公社(TANTRANSCO)にヒアリングしたところ、「強風により工業団地に電力を送る電柱の多くが倒れてしまったのが停電の理由だ。新たな電柱を調達し、23日までに据え付け工事を完了させる予定で、電力供給は復旧する見込み」とのことだった。

 

 TN州政府は、倒木の除去や避難所の設営、避難民への食事の配給などを行っている。また、中央政府に対し100億ルピー(約170億円、1ルピー=約1.7円)の資金援助を求める書簡を提出した。13日付の州政府のプレスリリースによると、一連のサイクロン被害で16人が亡くなったほか、15,000人以上が避難所生活を送っているという。

 

 なお、通信ネットワークの不通によりATMで現金の引き出しができなくなったほか、一部店舗ではデビットカードやクレジットカードによる電子決済も不可能となった。11月初旬の旧高額紙幣廃止(2016年11月10日記事参照)に伴い現金の確保が困難となっている中、電子決済もできないため、市民生活に大きな影響を及ぼしている。

 

(前田雄太、磯崎静香、AP・スリクマール)

(インド)

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