ウラジオストク自由港、通関時間短縮に取り組む

(ロシア)

モスクワ発

2016年12月26日

 ウラジオストク自由港内で、通関の「ワンストップ窓口」の運用、国境ポイントの24時間営業、海上貨物到着の事前通知義務化が始まった。通関時間短縮の取り組みの一環で、2017年4月1日からは航空貨物の事前通知も義務化される。

<海上貨物の事前通知が義務に>

 2015713日付連邦法第212号「ウラジオストク自由港について」の第22条が101日に施行された。通関ワンストップ窓口の運用や通関ポイントの24時間営業化、海上貨物の事前通知義務付けが規定されている。主な内容は次のとおり。

 

○通関における「ワンストップ窓口」のオペレーターとして、連邦税関局が、連邦動植物検疫監督局(ロスセリホズナドゾル)と連邦消費者権利保護・福利監督局(ロスポトレブナドゾル)による貨物および輸送車両の動植物検疫・衛生管理機能を代行する。これに伴い、国境に国境警備隊および税関職員が駐在する。

 

○ウラジオストク自由港内の全ての海港およびウラジオストク空港の通関ポイントが24時間営業となる。連邦税関局極東支部の発表(1020日)によると、陸上通関ポイントの営業時間は、国境を接する中国側当局との協議による。

 

○港への貨物到着の事前通知が義務化される。全ての必要書類は電子的手段での提出が求められる。事前通知がない場合は、上記連邦法第212号第2212項に基づき、税関のリスク管理システム(注)におけるリスクを含む貨物として扱われることになる。

 

 また、連邦税関局極東支部の発表(119日)によると、ウラジオストク空港に輸入される航空貨物についても、事前通知が201741日に義務化される予定で、事前通知には次の2種類の情報が含まれる。

 

a.輸送会社とルート〔国籍、登録番号、航空会社名、便名、荷積み・荷降ろし地点、直近の港・空港の出発時間、到着予定時刻、ユーラシア経済連合(EEU)領域への輸入禁止・制限品目に関する情報など〕

 

b.輸送書類に記載される貨物に関する情報〔書類数、貨物内容、荷積み・荷降ろし港、個数、総重量、正味重量(必要な場合)、HSコード、発送人・受取人情報〕

 

 本措置は貨物の通関にかかる時間の短縮を目的としている。ウラジオストク税関のアレクセイ・クズミン税関手続き・管理課長は、事前通知が十分に前もって行われれば、通関などの手続きにかかる時間が削減されるとしてコンテナ貨物の手続きは通常37時間要するが、事前通知によって30分まで短縮化されると話した。ウラジオストク港に出入りする60%以上の海上貨物が情報システム「海港」を通じた事前通知を利用している(「ポートニュース」106日)という。

 

 他方、輸入者やフォワーダーの中には、税関職員から、電子的手段による事前通知だけでは不十分で、文書でも通知するよう要求されることがあるとの指摘もある(貿易関連情報サイト「PROVED929日、1110日)。

 

<自由関税地域での運用は一部にとどまる>

 ウラジオストク自由港入居者向けの自由関税地域(免税での特別な輸入)はまだ運用が始まっておらず、フェンスや設備も未整備だ。連邦税関局極東支部の発表(1020日)によると、アムール州の優先的社会経済発展区域(TOR)「ベロゴルスク」、沿海地方のTOR「ボリショイ・カメニ」(石油掘削プラントおよび造船所)では既に機械設備が免税で輸入されているとのことだ。

 

(注)税関検査対象の商品、輸送方法、文書、輸入者について、適切な検査方法や検査レベルを決定するもの。調査レポート「ロシアにおける税関検査簡素化を目的とする貿易事業者カテゴリー別分類制度」(2016年2月)を参照。

 

(タギール・フジヤトフ)

(ロシア)

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