中国工業博に9年連続でジャパンパビリオン出展

(中国)

上海発

2016年12月05日

 上海市で11月1~5日、中国最大級の工業総合見本市「第18回中国国際工業博覧会」(工業博)が開催された。今回導入されたパートナーカントリーのロシアは、ビジネスミッションが中国との貿易・投資の拡大を狙って活発に活動していた。ジェトロは環境をテーマに9年連続となるジャパンパビリオンを出展した。

<パートナーカントリーのロシアが活発にPR

 上海市の国家会展中心(センター)で工業博が1115日に開催され、出展企業数は計27ヵ国・地域の2,308社・団体となった。来場者は前年比13.8%増の延べ15万人で、海外からの来場者も10.9%増となるなど盛況だった。18回目となる工業博について、ロシアの存在感とジャパンパビリオンに絞って紹介する。

 

 今回、初めてパートナーカントリー制度が導入された。パートナーカントリーとなったロシアは、工業博を中国との貿易・投資促進のプラットフォームとして活用した。

 

 ロシア政府は、デニス・マントゥロフ工業商務相を代表に、カスペルスキー(ウイルス対策ソフト)、UCルサール(アルミ生産)など大企業のビジネスミッションを引き連れ、15社・4団体が入る1,080平方メートルのロシアパビリオンを出展したほか、大臣クラスが参加するビジネスフォーラムを開催した。また、中国企業の投資誘致にも力を入れており、ロシア自治体による展示だけでなく、フォーラム(テーマ:ロシアで工場を立ち上げる方法-法律と事業実施-)も開催した。

 

<日本の商談成約額は目標の2倍超>

 ジェトロは、工業博の専門展の1つである省エネ環境保護技術と設備展(EPTES)に9年連続でジャパンパビリオンを設け、28小間・24社・3団体(横浜市、新潟県、札幌市)が出展した。中国での環境規制強化によるビジネスチャンスを見込んだ企業が多く、来場者数も前年より大幅に増え、1社当たりの商談件数や成約件数・金額(見込みを含む)は大きく増加した。ジャパンパビリオン全体では、商談件数1,200件、成約件数(見込みを含む)121件となり、成約額は目標の2倍を上回る63,000万円に上った。

 

 ジェトロは出展支援のほか、コーディネーターを活用したビジネスマッチングや専門家による商談ツール作成支援、商談同席サービスを提供した。高い殺菌効果と無臭・無害という性能を両立させたオゾン発生装置を製造するオーニット(本社:岡山県赤磐市)は、販売・代理店を探していたが、コーディネーターの紹介で上海の大手不動産会社へのサンプル輸出に成功し、今後、この不動産会社が開発した複数のオフィスビルへの販路拡大への可能性につなげた。

 

<セミナー・商談会で出展者の製品をPR

 ジェトロはジャパンパビリオン出展のほか、2つの関連イベントを開催した。

 

 112日に、上海市工商聯環境保護産業商会、同済大学・虹口緑色科技産業園、上海東浩蘭生国際服務貿易集団と共同で、環境分野で実績のある中国企業バイヤーを招き、排気・排水処理・測定技術製品に関するセミナー・商談会を開催した。終了後、バイヤーは展示会場を訪れ、セミナーで講演した日本企業の展示を見るなど、商談増加につながった。

 

 114日には、華東地区の環境規制、ビジネスチャンス、対策に関するセミナーを開催した。2016年度初めから同地区で「環境規制が厳しくなった」「環境規制がどうなっているのか調べてほしい」との要望が相次いだことを受けて開催したもので、参加者からは「現地の環境規制の大枠がよく理解できた」といった声が寄せられた。

写真 にぎわう工業博会場の様子(ジェトロ撮影)
写真 ジャパンパビリオンの様子(ジェトロ撮影)

(張潔菁)

(中国)

ビジネス短信 208784df12811979