通関手続きに関する事前評価制度を導入

(フィリピン)

マニラ発

2016年11月01日

 フィリピン関税局は10月3日、通関手続きに関する事前評価制度(Advanced Ruling System)を導入する旨の行政令を公布した。これにより、関税局から事前に関税番号などを取得でき、担当官によって起こる異なる解釈を回避し、国際基準に沿ったスムーズな通関手続きにする狙いがある。本制度は11月から利用可能。

<統一判断を提供し国際基準に基づく制度を確立>

 103日、フィリピン関税局から行政令(CAOCustoms Administration OrderNo.32016が公布され、関税局による通関手続きに関する事前評価制度が実施されることとなった。これにより、関税番号や申告評価額の算定基準などについて関税局へ照会し、事前に回答を取得できることになるため、通関時に関税局から解釈について不必要に疑義を持たれることが回避できるようになる。(1)輸出者、輸入者にとって、法的に拘束される情報をベースにビジネス判断ができる環境を整備する、(2)税関として、通関手続きに関し、担当者によって起こる異なる解釈を回避し、統一性のある判断を行う、(3WTO、世界税関機構(WCO)改正京都規約、ASEAN貿易合意書などに基づいた事前教示制度の確立を目指す、といったことが狙いだ。

 

 今回のCAOの発効は、公示期間が15日間のため、11月からこの制度を利用できる。

 

<事前評価は3年間有効>

 CAO No.32016の概要は次のとおり。

 

○事前評価対象項目

1)申告評価額の算定基準および原産地国による優遇関税の適用範囲

2)関税番号

3)輸出入に関するその他の照会事項

 

○申請時期

1)書面で輸入日前90日以前に申請する必要がある。

2)書面で申請後、15日以内に受け取りの確認が税関から通知される。もし、追加資料の要求がある場合には、申請後30日以内に要求通知が発行される。

3)申請受理後30日あるいは追加資料提出後30日以内に税関の回答(Ruling)が発行される。

 

○税関の評価(Ruling)の有効性

1)評価は有効期間3年となる。有効期間を延長したい場合には、期限の90日前に再教示の申請をする必要がある。

2)この評価は、申請者だけに有効となる。他の第三者が入手した評価に対しては、その当事者でない限りその評価に税関は拘束されることはない。

 

(鈴木翔三)

(フィリピン)

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