越境EC新制度、通関証明書提出などの猶予を2017年末まで延長

(中国)

北京発

2016年11月18日

 政府が4月に導入した越境電子商取引(EC)の新制度で、通関証明書提出などの猶予期間が2017年末まで延長されることになった。商務部が11月15日にウェブサイトに掲載した報道官談話で明らかにした。

<業者からは新制度に不満の声も>

 税関総署は524日付で「税関総署弁公庁の越境EC輸入に関する新しい監督管理要求関連事項の通知(署弁発[201629号)」を発表していた。それによると、48日に導入された越境EC新制度に関して、天津市、上海市、浙江省杭州市、寧波市、河南省鄭州市、広東省広州市、深セン市、重慶市、福建省福州市、平潭県の10の試験都市で、越境EC商品の保税区への搬入時に提出が必要とされた「通関証明書(通関単)」などについて、511日から2017511日まで提出を求めないとしていた(2016年6月1日記事)。

 

 また、化粧品、幼児用粉ミルク、医療機械、特殊食品(健康食品、特殊医学用途成分配合食品など)で初回輸入時に必要としていた輸入許可証、登録、届け出についても、同じく猶予するとしていた。さらに、10の試験都市以外でも、保税区倉庫を通さない海外直接取引では、化粧品などの商品の初回輸入時の輸入許可証、登録、届け出について、同じく猶予するとしていた。

 

 越境EC新制度は、通関証明書の取得に必要な原産地証明などの提出が困難だとの声や、健康食品と一部化粧品の越境EC輸入で正規輸入と同様の手続きが求められた場合は手続きに時間がかかるといった不満が出ていた。

 

<監督管理モデルの円滑な移行が狙い>

 こうした状況下、商務部は1115日、ウェブサイトに「商務部道官による越境EC輸入監督管理の過渡期の延長に関する談話」を掲載し、2017511日までという約1年間の猶予期間を同年末まで延長することを明らかにした。同談話によると、越境EC輸入の監督管理モデルの円滑な移行を推進するため、関連部門の同意を経て延長決定に至ったとした。

 

 北京商報網(1115日)は、国内小売業が全体的に低迷し、EC業界の成長が緩やかになっている中、猶予期間の延長は越境EC業者に調整余地を与え、政府の監督管理などをより詳細なものにできるだろうとしつつ、2018年以降も猶予になるかどうかは不透明と報じている。

 

(趙薇、宗金建志)

(中国)

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