中央賃金委が最低賃金の引き上げを決定-2017年1月から実施予定-
(タイ)
バンコク発
2016年10月25日
タイ中央賃金委員会は10月19日、現行300バーツの最低賃金を改定し、国内69都県の最低賃金引き上げを決定した。引き上げ幅は日額5~10バーツ(約15~30円、1バーツ=約3円)で、各県の経済情勢などに応じて異なっている。今後、閣議了承を得て、2017年1月に実施される予定だ。
<2013年から据え置かれていた最低賃金の引き上げ>
労働省のブンタリック・スミティ事務次官を委員長とし、政労使で構成される中央賃金委員会は、10月19日に国内69都県の最低賃金の引き上げを決定し、2017年1月から実施される見込みとなった。最低賃金は、2013年のインラック政権において全国一律に日額300バーツに引き上げられたのを最後に、ここ数年は据え置かれていたことから、労働界からの引き上げ要望が根強かった。2015年11月の中央賃金委員会では、ブンタリック次官が2016年半ばまでに現行の最低賃金水準を維持した上で、調査結果を検討するとしており、その動向が注目されていた。
<据え置きを含め4グループで引き上げ額に格差>
今回の賃金引き上げに際しては労働法に基づき、生計費、消費者物価、生産コスト、生産者物価、生活水準、生産能力、財・サービス価格、ビジネス環境、GDP、社会・経済環境、の10項目の調査が行われ、さらにその結果について近隣の県の結果と比較勘案の上、各県ごとに引き上げ額が決定されている(表、図参照)。その引き上げ額は4グループに分けられ、10バーツがバンコク都を含む7都県、8バーツが13県、5バーツが49県となった一方で、残る8県については据え置かれた。
今後、最低賃金の引き上げは、シリチャイ労働相の承認の上、閣議了承を得た後、2017年1月から実施の予定だ。
(阿部桂三)
(タイ)
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