駐在員の就労ビザ取得に新規則

(マレーシア)

クアラルンプール発

2016年09月02日

 マレーシア入国管理局は7月20日付で、駐在員が就労するのに必要な就労ビザに関する新規則を発表した。これまで申請しておけば自由に入国が認められてきたが、8月1日からは、申請者はマレーシア政府からの認可取得後、認可書のコピーを持って入国する必要がある。

EPに加えPVPの新規申請にも適用>

 マレーシアの就労ビザには、長期滞在・就労のための雇用パス(EP)と、短期就労のためのプロフェッショナル・パス(PVP)の2種類ある。新規要件は、入国管理局(ESD)に対して、申請会社が登録済みのオンラインでEPまたはPVPを新規に申請する場合に適用される。なお、マレーシア入国管理局のウェブサイトでは、認可書の取得はEP取得予定者となっているが、同局に確認したところ、PVPについても受け入れ現地法人からのレターが求められるとのことだ。

 

 入国管理局は、現在有効なEPPVPを延長申請する場合、有効期限内の申請には新規則は適用しないとする(表参照)。さらに製造会社、国際調達センター(IPC)、駐在員事務所などマレーシア投資開発庁(MIDA)から認可されたポスト(Key PostTime Postなどの就労枠)を利用したEPの申請についても適用を免れる。

表 申請の種類別新規則適用の有無

<発給認可書のコピーを持参し入国>

 新規則が適用される場合の申請手続きは以下のステップを踏む必要がある。最初にEPPVPの申請は、申請者がマレーシア国外にいるうちにマレーシアの申請会社を通じ行う。第2段階として、申請者は認可書の取得後、ビザ発給を受けるために、認可書のコピーを持ってマレーシアに入国する。

 

 第3段階として、申請者が入国管理局のカウンターで認可書のコピー(および照会ビザ)を提示すると、通常はEPについては30日間、PVPについては14日間のパス発給申請のための滞在許可が得られる。最後のステップとして、申請者は滞在許可期間中にビザの発給手続きを行う。

 

 EPまたはPVPの申請者が、認可が下りないうちに出張などでマレーシアに入国する場合は、入国管理局のカウンターで復路の航空券を提示することを求められる場合がある。航空券を提示すると、RTReturn Ticket)というスタンプが押され、RTスタンプが押印されているとパスが発給されない仕組みになっている。EPまたはPVP申請中にマレーシアに滞在している場合は、認可後にいったん出国し、あらためて認可書のコピーを持参して再入国する必要がある。

 

 実際の入国管理局の運用状況に関する各種情報を総合すると、入国管理局は現状手探りの運用を行っているとみられる。つまり、81日以降にマレーシア国内でEP申請しても、当局が申請を却下する動きがある一方、特段の問題もなく申請が通る事例もあるようだ。全ての担当官に新規則が周知されていないためとみられるが、申請却下のリスクを避けるために、申請者は認可書のコピーを持参して入国することが望ましい。

 

 EPはマレーシア進出日系企業の駐在員の多くが保持している。駐在員は現地法人と雇用契約を締結していることが前提で、最低給与は一般的には月5,000リンギ(約125,000円、1リンギ=約25円)以上必要になる。PVPはマレーシア国内で1年間を上限に短期就労する外国人に発給され、プロジェクトの技術支援、機械の据え付けなどの業務、企業研修生受け入れなどの場合も取得しなければならない。

 

(新田浩之)

(マレーシア)

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