天津市、4業種の2016年賃上げラインを引き下げ

(中国)

北京発

2016年09月27日

 天津市政府は、未発表だった業種別の2016年の賃金ガイドラインを発表した。7業種のうち、建築業、宿泊・飲食業、リース・商業サービス業、水利環境・公共施設管理業の4業種で賃上げ基準値が前年より引き下げられた。残る3業種は前年から据え置かれた。

3業種は前年から据え置き>

 825日に発表された7業種の賃金ガイドラインの通知では、上限ラインが前年より一律2ポイント引き下げられたほか、基準ラインを業種別にみると、建築業、宿泊・飲食業、リース・商業サービス業、水利環境・公共施設管理業の4業種で前年より引き下げられた(表参照)。天津市政府は713日付で、2016年の賃上げ基準値である賃金ガイドラインを発表したものの、業種別のガイドラインは、天津市人力資源・社会保障局が別途公表するとしていた(2016年8月10記事参照)。賃金ガイドラインに法的強制力はないが、賃金の団体交渉制度を導入している企業をはじめ、労使の賃金交渉での目安になっている。

 

 下限ラインと、卸売・小売業、交通運輸・倉庫・郵送業、住民サービス・修理・その他サービス業の3業種は前年と同率だった。

表 天津市の業種別賃金ガイドライン(2016年)

 なお、同通知では7業種に対し、賃金ガイドラインの適用について、次の基準を示している。

 

1)前年度の平均賃金が業界平均を下回る企業は、業界の基準ラインと上限ライン(16.0%)の間で賃金引き上げ率を調整すること。

2)前年度の平均賃金が業界平均以上であるものの3倍未満の企業は、下限ライン(3.0%)と上限ライン(16.0%)の間で賃金引き上げ率を調整すること。

3)前年度の平均賃金が業界平均の3倍以上の企業は、引き上げ率を業界の基準ラインを上回らない範囲とすること。

4)業界の基準ラインに沿った賃上げを行わない企業は、従業員にその理由を説明すること。

 

 また同通知は7業種の企業と従業員に対し、(1)「天津市企業賃金団体交渉条例」に規定されたプロセスにのっとり、業界の賃金ガイドラインに基づき団体交渉を行い、賃金団体協議書を締結すること、(2)業界の賃金ガイドラインの発表前に賃金団体協議書を締結し協議書で約定した引き上げ率が業界の基準ガイドラインを下回る場合、労使双方の協議で合意すれば賃金団体協議書の内容を変更できること、(3)企業規模が小さく従業員数が少ない企業は、地域・業界の団体交渉に積極的に参加し、業界の賃金ガイドラインに基づき賃金団体協議書の平均引き上げ率を決めること、としている。

 

(日向裕弥、鄭慧)

(中国)

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