北朝鮮の2015年の貿易は18%減の62億5,200万ドル-KOTRA調べ、減少は6年ぶり-
(北朝鮮、韓国)
中国北アジア課
2016年07月01日
大韓貿易投資振興公社(KOTRA)は6月15日、2015年の北朝鮮の貿易動向(韓国と北朝鮮間の南北交易は除外)を発表した。それによると、貿易額は過去最高を記録した2014年の76億1,100万ドルから18%減の62億5,200万ドルへと急減した。貿易額が減少したのは6年ぶりのことだ。
<2015年の貿易規模は2011年水準に戻る>
KOTRAが発表した「2015年の北朝鮮の対外貿易動向」によると、輸出は前年比15%減の26億9,700万ドル、輸入は20%減の35億5,500万ドルで、輸出入合計では18%減の62億5,200万ドルとなった。貿易収支の赤字は、前年の12億8,200万ドルから8億5,800万ドルに減少した(表1参照)。
北朝鮮の貿易(輸出入合計額)の推移をみると、2008年の38億1,600万ドルから2009年に34億1,400万ドルへ1割ほど減少した後は増加が続き、2014年は76億1,100万ドルと過去最高を記録した。しかし2015年は一転して、62億5,200万ドルに急減し、ほぼ2011年の水準(63億5,700万ドル)に戻った(2014年6月5日記事、2015年6月23日記事参照)。
<中国への貿易依存度はさらに高まる>
北朝鮮の貿易を国・地域別にみると、中国との貿易は、輸出が前年比13%減の24億8,400万ドル、輸入が20%減の32億2,600万ドル、輸出入合計額では17%減の57億1,000万ドルとなった(表2参照)。この結果、北朝鮮の中国への貿易依存度は輸出で92.1%、輸入で90.8%、全体では91.3%に達している。中国への貿易依存度は2012年の88.3%から徐々に高まり、2014年は90.1%になっていたが、2015年はそれも上回った。
2位以下の国・地域はいずれも合計額が1億ドルに達しておらず、ロシアが8,430万ドル、インドが7,650万ドル、タイが5,000万ドルと続いており、順位に変動はない。10大貿易相手国を2014年と比較すると、バングラデシュ、ブラジル、ドイツが11位以下になったのに対し、2014年との比較で貿易額を増やしたウクライナ、フィリピン、香港が10位以内に入っている。
<輸出は鉱物性燃料の比重高まる>
品目別輸出入をみると、まず輸出は石炭、褐炭などの鉱物性燃料が前年比8.1%減の10億8,300万ドルで、減少してはいるものの、輸出全体に占めるシェアは40.2%に高まっている。次いで、メリヤス編みやクロセ編み以外の衣類・同付属品が7.7%減の6億3,700万ドルで、シェアは23.6%、3位が鉄鉱・スラグ・灰で39.7%減の2億400万ドル、4位がメリヤス編み、クロセ編みの衣類・同付属品で、39.2%増の1億6,600万ドルの順で続いており、魚類・甲殻類・軟体動物も前年比2割減とはなっているものの、1億ドルを超えた(表3参照)。主要輸出品はいずれも、そのほとんどが中国向けになっている。
一方、輸入では原油や精製油などの鉱物性燃料が前年比32.8%減の5億200万ドル、次いで電気機器・音響・映像設備が21.2%減の3億3,500万ドル、ボイラーおよび機械類が20.1%減の2億6,300万ドル、車両および同部品が14.4%減の1億9,700万ドル、プラスチックおよび同部品が12.1%減の1億7,500万ドルで続いている(表4参照)。
<今後も縮小していく方向に>
KOTRAは、2015年の北朝鮮の貿易の特徴として、2014年と比べ輸出・輸入とも大幅な減少となる中で、国・地域別では中国の比率が一層高まったこと、輸出面では中国との委託加工貿易による繊維の輸出比率が高まったこと、輸入面では、鉱物性燃料に次いで多い電気機器・音響・映像設備の中で、中国から携帯電話の輸入が増えたことを挙げている。
北朝鮮が2016年1月に4回目の核実験を行い、2月には長距離弾道ミサイルを発射したことで、国連安全保障理事会で3月に採択された制裁決議が実行に移されている。北朝鮮の最大の貿易相手国である中国もこの措置に賛成していることから、北朝鮮の貿易は今後も縮小していく方向にある。
(根本光幸)
(北朝鮮、韓国)
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