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59タリフラインの関税を新たに段階的撤廃-ITA対象品目拡大の国内手続き完了-

(マレーシア)

クアラルンプール発

2016年07月28日

 国際貿易産業省(MITI)は7月15日、WTO情報技術協定(ITA)の対象品目拡大に伴う情報通信技術(ICT)関連製品の関税撤廃の国内手続きを完了したと発表した。新たな関税率は7月1日にさかのぼって適用される。

86%の関税は既にゼロ>

 新たにITAの対象となった201品目には、新型半導体といわれるマルチコンポーネントICMCOs)、タッチスクリーン、GPSナビゲーションシステム、簡易型双方向の電子教育装置、ビデオゲーム機の本体などのほか、磁気共鳴画像診断装置(MRI)などの医療機器も含まれる。MITIによると、マレーシアのHSコード9桁のタリフライン(関税品目)でみると、201品目は410タリフラインに分類できる。マレーシアは既にその86%に当たる351タリフラインで関税率をゼロにしており、新たに残りの59タリフライン(関税率530%)についても段階的に撤廃していく。

 

 ITAの対象品目を拡大するWTO加盟国・地域は20151217日に合意した53に限られているものの、マレーシア以外に中国、米国、日本、韓国、EUなどが含まれる。ASEANからはタイ、シンガポールが参加している。参加各国・地域は201品目の関税率について、即時または3年、5年、7年かけて撤廃していく。なお、ITAWTOの枠組みであることから、今回の関税撤廃の恩恵は、最恵国待遇の原則の下、全WTO加盟国・地域に及ぶ。

 

<航空用機器などの輸入増を見込む>

 マレーシアについては、1967年関税法により現在5%の関税率が課されている品目の多くが即時撤廃となり、輸入拡大が見込まれる。例えば、航空用機器(HS9014.10 000)は2015年時点でも日本からの輸入が22.6%を占めており、5%の関税撤廃後はさらなる輸入増が期待される(表参照)。一方、テレビ関連品(8528.71 100)の関税率は2016年に30%から22%へ引き下げられた。引き続き高関税だが、2019年にはゼロにする意向だ(譲許表は添付資料参照)。電気スイッチおよびコネクター(8536)関連は関税撤廃時期を2023年としており、撤廃までの期間は比較的長い。

表 関税が即時撤廃される主要品目の税率と日本のシェア

 改定関税法では、これまでHSコードが設定されていなかったMCOsを新たに記載し、その関税率も規定している。例えば、自動車のエンジンに使用されるMCOsは「HS8409.91 200」と設定され、税率は22%。投影機に使用されるMCOsHS9008.90 910)は税率がゼロなど、ITAの対象品目拡大に伴う国内法の整備が進んでいる。

 

 ITAの対象品目拡大は、マレーシアに輸出している、あるいは輸出を考えている日本企業へのメリットも大きい。しかし、対象品目でも前述のテレビ関連品のように高関税が課され続ける品目もある。こうした場合は、既存の自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)の利用も検討すると良いだろう。例えば、テレビ関連品を日本から輸出する場合は、日本マレーシア経済連携協定(JMEPA)で関税率がゼロとなっており、JMEPAを利用することが得策とみえる。しかし、FTAEPAを利用すると、特恵税率の恩恵は受けられるが、原産地証明書の取得に時間とコストがかかる。WTOによる自由貿易拡大は、原産地証明書が要求されないという意味で恩恵を受けられることになる。

 

<輸出の押し上げ効果にも期待>

 MITIは、ITAの対象品目拡大は600社以上のマレーシアの製造業者に世界市場アクセスの機会をもたらし、結果的に輸出を押し上げるとみている。また、輸出の拡大だけでなく、マレーシアのICT関連製品のメーカーは関連部材をこれまでより安く世界から調達できるようになり、その結果、マレーシアのICT製品の付加価値は高まり、輸出競争力がさらに増すと期待される。

 

 ITA1997年に発効した複数国間協定で、82ヵ国・地域が参加している(201645日時点)。関税撤廃の恩恵は、ITA未参加国・地域も含めた全WTOメンバーに等しく与えられる特徴があり、マレーシアもこれまでITA協定の恩恵を受けてきた。MITIによると、1996年時点では217億ドルのICT関連製品を輸出していたが、ITA発効後の2010年に同製品の輸出額は605億ドルとほぼ3倍に拡大した。ITAの対象品目拡大はマレーシアのICT貿易をさらに後押しするとみられる。

 

(新田浩之)

(マレーシア)

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