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電子通関システム導入でJICAが支援

(ミャンマー)

ヤンゴン発

2016年06月10日

 ミャンマーでは2011年の軍政終結後、民主化の進展とともに貿易量が増加している。しかし、通関システムの電子化が遅れており、通関作業は煩雑で多くの時間を要する。こうした状況を改善しようと、国際協力機構(JICA)が電子通関システム(MACCS:マックス)導入を支援している。2016年11月に予定されている稼働に向け、JICAとミャンマー税関局が主催して、マックス利用者向けの説明会が行われている。

<輸入時の税関手続きなどに課題>

 ミャンマーは2011年の民政移管以降、さまざまな輸入規制が緩和され、輸入量は年々増加している(2016年5月23記事参照)。ただ、輸入時の税関手続きに多くの時間を要したり、コンテナが長期間、港に放置されたりするなど、課題も多い。貨物の到着から税関審査完了までに4日から7日を要し、状況次第で貨物の引き取りに要する日数も長くかかるため、食品を扱う現地日系企業からは「炎天下で長期間、貨物が放置され、品質の悪化を招いている」などの声が聞かれる。ミャンマー税関局では、独自に定める評価額リストによって課税額を決めるため、「インボイス上の申告額よりも高額で評価され、税金が想定を上回り決済に支障が生じるケースがある」と訴える現地日系企業も多い。

 

<日本をモデルにした電子通関システムを導入>

 そうした中、JICAが支援し、日本の電子通関システムであるナックス(NACCSNippon Automated Cargo and Port Consolidated System)をベースとした新たな通関システム、マックス(MACCSMyanmar Automated Cargo Clearance System)の総合運転試験が20168月から10月にかけて実施され、11月からはヤンゴン国際空港、ヤンゴン港、ティラワ港、ティラワ経済特別区(SEZ)内の各拠点で全面運用が開始される予定だ。

 

 マックスの導入によって変わる点は、自動審査処理と申告納税制度の導入だ。あらかじめ設定された輸出入者、品目、原産国等の情報から、システムが自動で審査区分をグリーン、イエロー、レッドの3つに分類する。グリーンチャンネル(貨物全体の約6割)の場合は、あらかじめ税関に預け金を登録していれば、自動で税金引き落としが行われるため、申告から許可まで数秒で完了する(図参照)。また、貨物到着前に輸送貨物の審査区分が事前に分かるため、貨物の受け取りまでの日数の見積もりが容易になる。現地日系物流企業からは「これまでは貨物到着から受け取りまでの日数の見積もりが難しく、運搬用トラックや倉庫を多めの日数で予約し、余計なコストがかかっていた。マックス導入で、事前に審査区分を確認できる。通関手続きの日数削減にもつながるのではないか」と歓迎する声が聞かれる。

図 税関手続きの流れ(現状およびマックス導入後)

 また今後、WTOの関税評価協定に基づいた申告納税制度が導入される予定だ。これにより、今まではミャンマー税関の独自の評価額リストで決められていた課税額が、原則、輸入者の申告額に基づいて決まり、実際の契約価格と税関が独自に決めた評価額との差異による決済トラブルの軽減が期待できる。

 

<ミャンマー企業への研修も実施>

 通関業務を行うミャンマー企業に向けて、JICAとミャンマー税関局の主催により、マックスの具体的な操作方法を説明する研修が20165月から2ヵ月にわたり毎週、ヤンゴン市内の税関局の研修施設で行われている。1週間ごとに100人ずつ、合計800人が参加する予定だ。欧州からの魚介類や豆類の輸入を行うミャンマー企業は「使用したことがないシステムで初めは戸惑いがあったが、説明会で具体的な操作方法を丁寧に教えてもらい不安がなくなった。今まで紙で申告し、その都度、税関に足を運ぶ必要があったが、オンラインでの申請により輸入業務手続きの短縮につながり、便利だ」と感想を語った。

 

 ミャンマー税関局のウィンタン・マックス部門ディレクターは「税関としても、民間企業としても大きな変化だが、ミャンマーの貿易量が増加する中、マックスの導入でミャンマーの通関業務が国際レベルになる良い機会だ。11月はヤンゴン周辺の港湾と空港での導入のみだが、今後は中国国境のムセやタイ国境のミャワディー、タチレクへの拡大に期待している。マックスの導入により、不正業者の密輸の阻止や、汚職の撲滅につながるだろう。また、システムが貿易実績を集計するため、正確な貿易統計を把握することができる。時間はかかるが、徐々に改善していくことを期待している」と話している。

写真 研修の様子(ジェトロ撮影)

(澤田茉季)

(ミャンマー)

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