損益通算方法、最高裁が歳入局の主張認める判決-該当企業は8月1日までに修正申告・納税が必要-

(タイ)

バンコク発

2016年06月24日

 複数の投資恩典事業を有する場合の損益通算方法について、5月16日に最高裁判決が下され、税務当局である歳入局の主張が認められた。この判決を受け、財務省は6月16日付で、法人税の納付申告期限の延長を告示した。該当企業は8月1日までに修正申告・納税を行えば、罰金・追徴金は免除される。

<修正申告すれば罰金・追徴金は免除>

 財務省は616日付で、国税法に基づく法人の税納付申告期限を告示した。最高裁で516日に、歳入局の主張を認める判決が下されたことを踏まえた救済措置とみられる。告示によると、投資委員会(BOI)が認可した複数の投資事業を有する企業で、歳入局の納税規則によらない損益通算を行っていた企業は、81日までに修正申告・納税を行うなど一定の措置を講ずれば、罰金(Penalty)・追徴金(Surcharge)が免除される。

 

 複数の投資恩典事業(BOI事業)および非投資恩典事業間(非BOI事業)の損益通算方法については、歳入局と投資奨励法により投資恩典制度を管轄するBOIの見解が分かれていた。

 

 なお、今回の告示でも言及のある税務審議会決定とは、税務審議会が2009213日付で決定した税務審議会決定(NO.382552)のことで、(1)同会計期間におけるBOI事業の損失は、まず他のBOI事業と通算し、それでも損失が出る場合のみ非BOI事業の利益から控除できること、(2)法人税免税期間終了後に50%の減税が適用される事業も、まず他のBOI事業の利益と通算すべき、としている。

 

 告示によると、納付期限の延長の対象者は、(1)まだ審問召喚状を発行されていない会社または法人パートナーシップ(注)、(2)審問召喚状を発行されているが、まだ法人税の査定通知または納付命令を受けていない会社または法人パートナーシップ、(3)法人所得税の査定通知または納付命令を受けている会社または法人パートナーシップ、(4)法人所得税の査定通知または納付命令を受けており、不服申立審査委員会または裁判所に不服申し立て中の会社または法人パートナーシップとなり、該当企業は法人税の修正申告・納税期限を201681日までに延長され、脱税の意図はないものとして、一定の条件の下で罰金・追徴金は免除される。既に所得税、罰金、追徴金を支払っている場合は、罰金・追徴金の還付請求期限も延長される。

 

○参考資料

法人所得税納付申告期限の延長に関する告示(2016年6月16日付)(タイ語・英語、出所:歳入局)〔同告示日本語仮訳(ジェトロ・バンコク事務所)は添付資料参照〕

税務審議会決定(NO.38/2552の解説(ジェトロ

 

(注)タイの法人形態でいうパートナーシップには、(1)普通パートナーシップと(2)有限パートナーシップの2種類あり、(1)は日本の合名会社、(2)は日本の合資会社に相当する。

 

(若松寛)

(タイ)

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