北京市、事業主の社会保険負担率を引き下げ

(中国)

北京発

2016年06月09日

 北京市は5月1日から、社会保険のうち、養老保険負担率を従来の28%から27%に、失業保険負担率を1.2%から1.0%に引き下げた。企業のコストを下げ、その活力を増すことを目的としている。また、労災保険の引き下げも7月1日から正式に実施される。

<引き下げ幅は養老保険1ポイント、失業保険0.2ポイント>

 北京市人力資源・社会保障局、北京市財政局は531日付でを公布し、51日から同市の社会保険(養老、医療、失業、生育、労災)のうち、養老保険負担率を従来の28%から27%に引き下げた。具体的には、事業主負担率を20%から19%に引き下げ、従業員負担率は8%のままとした。また、失業保険負担率を従来の1.2%から1.0%に引き下げた。具体的には、事業主負担率を1.0%から0.8%に引き下げ、従業員負担率は0.2%のままとした。それぞれ51日から2年間の暫定適用としている。

 

 李克強首相が4月に主宰した国務院常務会議での決定を受けて、人力資源・社会保障部と財政部は同じく4月に、企業のコストを引き下げて企業の活力を増すために、社会保険料の事業主負担率を軽減する通知を出していた。今回の措置はそれに従ったものだ。

 

 3月の全国人民代表大会閉幕後の記者会見で李首相は、段階的に、適度に「五険一金」(社会保険と住宅積立金)の保険負担率を引き下げてもよい、また、保険負担率を適切に引き下げ、企業の負担を軽減し、従業員の現金収入を増やすようにすると発言していた。

 

 新京報網(61日)によると、3月以降、上海市、広東省、天津市、雲南省、四川省、湖南省、重慶市、江西省、新疆ウイグル自治区、山西省、河南省、陝西省、湖北省、山東省、広西チワン族自治区、北京市の16の省・自治区・直轄市が社会保険率を引き下げた、という。

 

<労災保険の引き下げは7月から正式実施>

 労災保険については、北京市人力資源・社会保障局、北京市財政局が201615日付ので、2015101日分から納付比率を引き下げることを明らかにし、正式実施は201671日からとしていた。具体的には、現行の3段階の産業分類(0.5%、1.0%、2.0%)を、8段階(0.2%、0.4%、0.7%、0.9%、1.1%、1.3%、1.6%、1.9%)へと変更する(注)のに伴うものだ。71日から新しい納付比率に基づいた計算をして納付するが、2015101日から2016630日までの間、余分に納付した部分については、今後の納付費用に充当できる。

 

 人民網(61日)は、養老保険、失業保険、労災保険の負担率の調整により、北京市の毎月の事業主負担は約7億元(約112億円、1元=約16円)軽減される、としている。

 

(注)産業分類の中で、さらに細かなレベル分けがされる。

 

(宗金建志)

(中国)

ビジネス短信 4d822b251343ff83