「ガーナはアフリカ大陸のゲートウエー」-マハマ大統領が投資フォーラムで日本企業に投資呼び掛け-

(ガーナ、アフリカ)

中東アフリカ課

2016年06月01日

 ガーナのジョン・ドラマニ・マハマ大統領が来日した機会を捉え、5月20日に都内で「ガーナ投資フォーラム」が開催された。ガーナ外務省、ガーナ投資促進センター(GIPC)などの政府機関、在日ガーナ大使館、ジェトロの共催で、日本企業や関係機関から約160人が参加した。基調講演でマハマ大統領は、アフリカビジネス初心者にとってのガーナの優位性や、日本との2国間投資協定交渉が大詰めを迎えていることなどを強調、アフリカ大陸へのゲートウエーとなり得るガーナへの日本企業の積極的な投資を呼び掛けた。

<農業や発電、インフラ建設投資に期待>

 フォーラムでは、パーカー・アロテ駐日ガーナ大使とハナ・テテ外相が開会のあいさつで、ガーナに対する近年の日本企業の関心の高まりを実感しており、日本企業の投資促進により日本との長年の友好関係が一層強固な経済関係に進展していくことを期待する、と述べた。テテ外相は、201611月の大統領選挙に触れ、安定した民主主義国家であるガーナでは、選挙結果が投資環境に大きく影響することはない点を強調した。伊藤伸彰・経済産業省大臣官房審議官は来賓あいさつで、日本政府としてもガーナのポテンシャルに着目しており、2国間投資協定の交渉を加速させていることに言及した。

 

 マハマ大統領は基調講演を行い、今回の訪日中に、日本政府が円借款を再開、ガーナの野口記念医学研究所の「先端感染症研究センター」の建設計画や人材育成奨学への無償資金協力計画を決定したことに、謝意を表明した。また、ガーナはアフリカビジネス初心者のための国で、友好的な国民性、教育水準や学習能力の高さ、犯罪率の低さ、治安と政治が安定した民主主義国家、司法制度も確立した法治国家であることを強調。日本から距離は遠いが、国際路線が充実しており、アフリカ大陸のほぼ中心に位置しているので、日本企業にとってアフリカのゲートウエーとなり得る、とアピールした。特に日本企業の投資を期待する分野として、急増している輸入農産品の代替となる農業・農産物加工、鉱物加工、発電事業や石油・ガスセクターのオフショア開発、社会インフラ建設や運輸を挙げた。

 

<GIPCは日本語サイトも開設>

 マウエナ・トレバー・ガーナ投資促進センター(GIPC)長官は「ガーナの投資環境とビジネスチャンス」と題した講演で、GIPC登録の日本の投資件数は23件、投資額は1,450万ドルに上ったと説明。ガーナは西アフリカで唯一「4GLTE」(第4世代移動通信)を利用できるインフラを整備しており、日本企業がビジネスを円滑に進める環境にあると強調した。税制優遇措置や投資要件などについても説明。投資決定の障害は情報ギャップにあることから、GIPCはできる限りの情報提供をする方針で、また日本語サイトを開設したと述べた。

 

 クワメ・ンシア・アサンテ・ガーナフリーゾーンボード(GFZB)マネジャーの講演「フリーゾーンにおけるビジネスチャンス」では、ガーナのフリーゾーンの特徴として、フリーゾーン登録を行った企業は、フリーゾーンの区画外でもフリーゾーン企業と同じ恩恵を受けることができることを説明。ガーナのフラグシップ・フリーゾーンであるテマ輸出加工区や、ガーナ西部で開発中のシャマ・ランド・バンクなどを紹介、特に後者は石油精製所の多い地域であることから、日本の化学関連の投資に期待を寄せた。

 

 ガーナへの進出日本企業の事例として、住友商事のアクラ近郊の340メガワット(MW)複合火力発電所の建設・運営プロジェクト〔ポーンIPP(独立系発電事業者)〕が紹介された。

 

 ジェトロの平野克己理事はあいさつの中で、ガーナはアフリカで内乱を懸念する必要のない数少ない国の1つであること、またサブサハラアフリカで唯一国連事務総長を出した国でもあり、その人材の層の厚さに言及した。20168月に開催予定の第6回アフリカ開発会議(TICAD VI)で、ジェトロとアフリカ8ヵ国の投資誘致機関とが新たなイニシアチブを立ち上げる予定で、同イニシアチブへのGIPCの参加を呼び掛けた。

 

 閉会あいさつでは、モナ・ヘレン・コーティ財務副大臣が、ガーナ政府がインフラ基金を立ち上げたところで、GIPCGFZBに加えて、政府が投融資パートナーとして企業を支援することができると訴えた。

 

(尾形惠美)

(ガーナ、アフリカ)

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