上海でアジア最大規模の環境展示会、日本の技術をPR

(中国、日本)

上海発

2016年05月27日

 上海市で5月5~7日、アジア最大規模の環境展示会「中国環境博覧会(IE expo)2016」が開催された。大気汚染対策、汚水・汚泥処理、土壌修復などの技術や製品を有する日本企業20社と2団体がジャパンパビリオンに出展したほか、多数の関連セミナーが開かれた。

<海外の出展企業が4分の1占める>

 557日に開催された「IE expo 2016」は17回目で、給排水・下水道、汚水処理、環境エンジニアリングなどをテーマとした。展示面積は前年比20%増の72,000平方メートルで、25ヵ国・地域の1,303社が出展し、国内外から43,000人が来場した。

 

 水関連の出展面積が最大で、前年比25%増の41,000平方メートルだった。2番目の大気汚染対策は出展面積が13,000メートルとなり、前年と比べてほぼ倍増した。また海外出展企業数は全体の約4分の1325社で、ドイツ企業が一番多く、次いで米国、日本、韓国、フランスの順だった。日本からは約45社が出展した。中国環境科学学会の王玉慶理事長は「環境技術・製品の交流を促進するのに、IE expoは非常にいいプラットホームを提供している。特に外国企業の出展が積極的なことから、中国環境市場の大きさがうかがえた」とコメントした。また、32のセミナーなどが併催され、国内外の専門家や技術者らが交流を深めた。

 

 中国では2016年から第135ヵ年規画が始まり、環境分野は重点分野になっている。中国環境保護部計画院は、2020年までの5年間の中央政府や地方政府などの環境分野への投資額は計10兆元(約170兆円、1元=約17円)で、それに民間を合わせると投資総額は17兆元に上ると試算しており、環境ビジネスは拡大傾向が続く見込みだ。一方、中国政府は201511日から改正環境保護法、2015416日から水汚染防止行動計画、201611日から改正大気汚染防止法を施行し、企業にとっては環境関連規制への対応が差し迫った課題となっている。

 

<ジャパンパビリオンに202団体>

 ジェトロはジャパンパビリオンを出展し、日本企業20社と2団体(福岡県、横浜市)が参加(主催者の日中環境協力支援センターを支援する民間活力型スキームでの出展)、揮発性有機化合物(VOC)測定・処理装置、工事現場で使用される粉じん計、微小粒子状物質(PM2.5)分析装置、省エネ型汚水処理装置、重金属汚染土壌の修復技術、汚泥乾燥機などを展示した。

 

 ジャパンパビリオンでは日本の環境技術・製品・サービスを中国の企業や研究機関などにアピールし、会期中の商談件数は1,836件に上った。出展企業からは「顧客を獲得できた」「予想どおり来客数が多く、専門家も大勢いて、今回の展示会を通じて取引を行うことができる見込み」「併催イベントの豊富なところも魅力で、最新の業界情報をセミナーや同業者との情報交換を通じて得ることができ、大変有益だった」などのコメントが寄せられた。また、初日には、ジャパンパビリオンの概要を中国環境科学学会の任官平秘書長、川崎市の三浦淳副市長一行に説明し、東亜ディーケーケーからは同社のVOC測定装置についての紹介があった。

写真 ジャパンパビリオンの様子(ジェトロ撮影)

<日本のVOC測定・処理技術に高い関心>

 ジェトロは会期中、「第4回華東地区水処理エンジニアセミナー」と「日中VOC測定・処理技術セミナー」をメッセミュンヘン(ドイツ)と共催した。両セミナーでは、ジャパンパビリオンに出品した日本企業7社が、自社の測定・処理技術や製品について講演した。

 

 水処理のセミナーでは、日本企業3社が省エネ・低コストの繊維ろ過装置、重金属汚染の廃水処理および汚泥乾燥化、薬剤をPRしたところ、多くの聴講者が新しい技術を知ることができたとコメントした。当日は90人が聴講した。

 

 もう1つのセミナーはVOCの測定・処理がテーマ。中国ではVOCPM2.5に次いで重要な規制対象となっており、特に上海市では、特定企業に対するVOCの排出やモニタリングなどの規制、罰則の強化、排出費の徴収、補助金の交付など、さまざまな施策が実施されている。セミナーでは、同済大学の羌寧教授が産業別にVOC処理技術の総論を講演し、日本企業4社がVOCの測定機器、処理技術について説明をした。ユーザー企業や環境エンジニアリング企業などから210人が来場し、広州の建材メーカー総経理は「厳しい環境規制の中で経営を続けていくためには、VOC処理装置を導入せざるを得ないので、日本企業の処理技術を詳しく説明してもらってよかった」と語った。

 

(張培葉)

(中国、日本)

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