朝鮮労働党大会、36年ぶりに開催-国家経済発展5ヵ年戦略も明らかに-

(北朝鮮)

中国北アジア課

2016年05月17日

 北朝鮮で1980年10月以来36年ぶりとなる朝鮮労働党大会が、5月6日から4日間開催された。2012年4月に金正恩(キム・ジョンウン)体制が誕生してから4年が経過したが、同大会を通して、金正恩体制の一層の強化が図られることになった。また、大会では核開発の強化と経済建設を同時に進める「並進路線」を推進していくことが確認された。経済建設部門では、2016~2020年まで「国家経済発展5ヵ年戦略」を遂行することが明らかにされた。

<金第1書記が実績を強調>

 北朝鮮で56日から59日まで、ピョンヤン市内の425文化会館で第7回朝鮮労働党大会が開催された。

 

 金第1書記(大会最終日の59日に党委員長に就任)は56日の開会の辞の中で、この大会が「党の強化発展と社会主義の偉業を完成させる闘争で、新たな道しるべをつくる歴史的契機になる」と述べるとともに、核やミサイル開発が自分自身の実績である点を強調した。

 

 2日目の57日には金第1書記が党活動総括報告を行い、政治・軍事はもとより経済部門、南北関係、対外関係など幅広い分野にわたって、今後どのように推進していくかを明らかにした。

 

 3日目の58日、朝鮮労働党は金正恩氏を主体革命(注)の最高位に奉るとともに、「北朝鮮は責任ある核保有国として、敵対勢力が核で自分たちの主権を侵害しない限り核兵器を先に使用しない」と明示した決定書を採択した。

 

 4日目の59日には朝鮮労働党中央委員会が全体会議を開き、政治局常務委員会と政治局の選挙を実施した。この中で、金正恩第1書記が新設ポストである「党委員長」に就任。金第1書記と金永南(キム・ヨンナム)最高人民会議常任委員長、黄炳瑞(ファン・ビョンソ)朝鮮人民軍総政治局長、朴奉珠(パク・ボンジュ)首相、崔竜海(チェ・リョンヘ)党書記ら、党、政府、軍の要職にある5人が党政治局常務委員に選ばれた。また政治局委員には、政治局常務委員5人と金己男(キム・ギナム)党書記、崔泰福(チェ・テボク)党書記、金英哲(キム・ヨンチョル)党書記、李洙●(リ・スヨン、●は土へんに庸)外相など計19人が選出された。これに次ぐ政治局候補委員は9人となっている。

 

<目標は経済を持続的に発展させる土台づくり>

 金第1書記が2日目に行った党活動総括報告の経済部門では、「国家経済発展5ヵ年戦略」を提示した。

 

 まず20162020年の5年間で、提示された5ヵ年戦略を徹底的に遂行することを求め、この目標は人民経済全般を活性化させ、経済部門間の均衡を保障することで、国の経済を持続的に発展させる土台をつくることだと強調した。

 

 具体的には、エネルギー問題を解決しながら4つの先行部門(石炭、電力、金属、鉄道)と機械工業などの基礎工業部門を正常化させ、併せて農業と軽工業部門の生産を増やすことで人民生活の向上を図るべきだ、とした。とりわけ、電力問題は経済発展と人民生活の向上に極めて重要なもので、全力を挙げて取り組まなくてはならないとした。

 

 金第1書記は「北朝鮮は政治的・軍事的には強国の地位を確立しているが、経済的にはまだその地位には達していない。並進路線というには経済部門が遅れている」との認識を示し、「経済強国となるためには、わが党と国家が総力を結集しなければならない」とし、人民のさらなる努力を求めた。

 

(注)金日成主席により唱えられた北朝鮮の国家統治理念。

 

(根本光幸)

(北朝鮮)

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