北京市の人口・計画出産条例を改定

(中国)

北京発

2016年05月02日

 第12回全国人民代表大会(全人代)常務委員会第18回会議で「中華人民共和国人口・計画出産法」の修正が2015年12月27日に採択されたのを受けて、2016年3月24日の北京市第14回人民代表大会常務委員会第26回会議で「北京市人口・計画出産条例」の修正案が可決された。同日、北京市衛生・計画生育委員会が同条例を発表、施行した。

<結婚休暇は一律に10日間>

 今回の改正は200391日施行の旧条例の改正版で、改正された主な内容は以下のとおり。

 

○結婚休暇

 結婚休暇は従来、男性が25歳以上、女性が23歳以上であれば晩婚となり(再婚は除く)、北京市の場合は法律に規定された基本休暇3日に加えて晩婚休暇を7日、計10日間の休暇取得が認められていた。

 

 今回の改正では晩婚休暇をなくし、この分を奨励休暇とした。結婚年齢を問わず10日間の休暇取得が可能となった。これは、中国政府の晩婚奨励策の見直しという面もあるが、初婚年齢の高まりにより、現代社会においては晩婚に該当する者が多い実態に合わせたともいえる。

 

 なお、結婚休暇は地方により日数が異なる(表参照)。北京市は10日だが、天津市は3日、上海市は10日、河北省は18日となっている。現時点では山西省の30日が最も多い。

表 北京市・天津市・上海市の結婚・出産休暇

○出産休暇

 出産休暇は産前15日、産後83日の計98日が基本休暇となっており、北京市の場合はこれに加えて難産の場合に15日、多胎妊娠の場合に15日、24歳以上の初産であれば晩産(高齢出産)となり30日が、それぞれプラスされることになっていた。

 

 今回の改正では、結婚休暇と同様に、年齢を対象とした晩産の追加休暇がなくなり、新たに生育奨励休暇として30日が付与されることになった。国が定める98日の出産休暇と30日の生育奨励休暇の合計で、晩産か否かにかかわらず128日間の休暇取得が可能となった。

 

 また、今回から新たに配偶者には15日の付き添い休暇が付与された。これにより、出産時に配偶者が休暇を取りやすくなる効果が期待される。

 

 出産休暇中は、減給、解雇、労働契約解除などはできない。また、機関、企業、事業体、社会団体など勤務する組織で許可が得られれば、出産休暇をさらに1ヵ月から3ヵ月増やせることも規定された。

 

<条件付きで3人目の出産も可能>

3人目の出産

 北京市では2016年から2人目の出産を提唱しているが、以下の状況があれば3人目を出産することができる。

 

1)再婚夫婦で、再婚前に1人の子供を持ち、再婚後もう1人の子供を持っている場合

2)再婚夫婦で、再婚前に2人以上の子供を持ち、再婚後は子供を持っていない場合

3)夫婦間の2人の子供のうち、1人が指定病院で非遺伝性病気や身体的障害と診断され、健常者と同様の成長ができない場合

 

 同条例の実施後は、従来1人しか出産しない夫婦に支給されていた1回限りの奨励金は取り消しとなり、さらに201611日から「一人っ子両親光栄証」も発行されなくなった。20151231日以前に、「一人っ子両親光栄証」を取得し、各優遇奨励を享受している場合、「一人っ子両親光栄証」取得後に2人目を出産すれば、以後、各優遇奨励は享受できなくなる。2人目の子供の出産日から「一人っ子両親光栄証」は失効となり、管理部門に返却すべきだとされた。

 

(鄭慧)

(中国)

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