深セン市が国家規定より短い土地の使用期限を延長-1995年9月17日以前の契約分を無償で-
(中国)
広州発
2016年05月06日
深セン市政府は、4月19日にミニブログ微博(ウェイボー)の公式アカウントで、1995年9月17日までに締結した土地使用契約について、使用期限が国家規定よりも短いものは無償で延長すると発表した。国家規定が制定される以前から、深セン市では土地使用権の譲渡を行っており、使用期限が国家規定と異なる契約もあった。これまで、深セン市は国家規定を上限として延長が可能である旨を発表していたが、費用の有無については明確にされていなかった。
<国と地方の規定にずれ>
中国では土地は国の所有であり、住宅・商工業などに使用する場合は土地使用権の譲渡を受ける。使用期限については、1990年制定の「都市国有地使用権譲渡および再譲渡暫定施行条例」により、居住用地70年、工業用地50年、教育・科学・文化・衛生・体育用地50年、商業・観光・娯楽用地40年、総合またはその他用地50年と定められている。
しかし、一部地域では1990年以前に土地使用権の譲渡が行われており、使用期限について同条例と齟齬(そご)が生じている契約もある。浙江省温州市で使用期限を国家規定に延長するに当たり多額の費用が必要となったケースが発生し、他地域での処理方法についても注目が集まっていた。
広東省深セン市では、1980年代初頭から土地使用権の譲渡が始まっており、1982年の「深セン経済特区土地管理暫定規定」により、経営目的の使用期限は工業用地30年、商業用地20年、住宅用地50年とされた(表参照)。その後、1988年の「深セン経済特区土地管理条例」、1994年の「深セン経済特区土地使用権譲渡条例」ではいずれも使用期限は最長50年とされ、1995年9月の「深セン経済特区土地使用権譲渡条例」の改正により、「土地使用権の最長使用年限は70年とし、用途の異なる土地の使用年限は国家規定に照らして執行する」と国家規定と同一内容となった。
<無償延長が明確に>
「深セン経済特区土地使用権譲渡条例」の改正前に締結された契約については、1996年2月27日の「土地使用権譲渡年限に関する公告」により、1995年9月17日までに「土地使用権譲渡契約書」を締結した土地の使用期限については国家規定を適用し、契約日から起算して延長することができる。ただ、同公告においては延長に当たっての費用の有無などは明らかにされておらず、今回の発表により無償であることが明言されたことになる。これにより、1,200ヵ所の住宅エリアが無償延長の対象になるとみられている(「深セン晩報」4月22日)。なお、1995年9月18日以降に締結された契約については「関連政策の制定について検討中」とされており、現時点で明確な方針は示されていない(注1)。
なお、行政割り当て不動産(注2)および行政割り当て不動産を移転したものについては、2004年の「期限満了不動産の期間継続の若干の規定」に基づき、延長に当たり公示基準価格の35%を納付する必要がある。
(注1)住宅用地については、2007年に制定された物権法第149条でも「住宅建設用地の使用権が満期となった場合、自動的に延長する」とされている。
(注2)土地使用権の譲渡以外の手段により、土地使用権を取得したもの。
(河野円洋)
(中国)
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