付加価値税の基本税率を15%に引き上げ

(スリランカ)

コロンボ発

2016年05月12日

 財務省は4月29日、付加価値税(VAT)の基本税率を現行の11%から15%へ引き上げると発表し、5月2日から実施した。背景には、前政権から続く慢性的な財政赤字やIMFの支援受け入れがある。

<増税と併せて免税措置も廃止>

 VATの基本税率変更に伴い、電気通信や医療などの免税措置が廃止された一方、教育と医薬品の販売は増税の対象から外れることになった(表参照)。免税措置の廃止は国家建設税(NBT)でも実施されることになった。

表 財・サービスにおける新税率表(2016年5月2日~)

 2009年の内戦終結後の順調な経済成長とは裏腹に、財政赤字は年々増加傾向にある(図参照)。2015年の財政赤字のGDPに占める割合は7.4%に達している。財政の立て直しは現政権の至上命題で、政府によると、今回の引き上げで2016年は前年比12.7%の税収増を見込んでいる。

図 スリランカの財政赤字額の推移

IMF支援を受ける条件との見方も>

 税率改定の発表に先立ち、428日のIMFの事務レベル会合で、スリランカに対する3年間で総額15億ドルの財政支援プログラムの実施が決まった。この中で、VATを含めた税制の抜本的な改革により、2020年までに財政赤字のGDP比を3.5%まで引き下げるとされており、今回の税率改定はIMFの支援を受けるための条件だったとの見方もある。

 

 カルナナヤケ財務相は、今回の増税を「ラージャパクサ(前大統領)の汚職税」と称し、前政権の財政運営(20052014年)により、現在の財政赤字が引き起こされたと強調している。

 

<日系製造業は輸出への影響を懸念>

 日本企業のビジネスへの影響も懸念される。進出日系製造業の多くはスリランカを、アジアから欧州までの広いエリアをカバーする輸出拠点としており、製品のほとんどは輸出されている。ある日系製造業は「今回のVAT税率の引き上げにより、国内調達コストが引き上がることが予想され、輸出競争力が損なわれかねない」と懸念を示す。

 

 201512月に国会を通過した2016年予算案は、VAT税率の12.5%への引き上げが前提となっており、実際に201611日には新税率がいったん導入された。しかし各方面からの強い反発を受け、政府は1週間足らずで新税率を撤回し、元の税率に戻した。この時は多くの民間部門で、新税率で徴収したVATを取引先に返還する事態が生じた。今回も発表から実施までの期間が短く、ビジネスへの影響は避けられないとみられる。

 

(菅原寛正)

(スリランカ)

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