マーケットプレイス型の電子商取引を外資に100%開放

(インド)

ニューデリー発

2016年04月08日

 インドにおける企業間電子商取引ビジネスの外資開放の内容が明確化された。販売業者にオンラインの売買プラットホームを提供するマーケットプレイス型の電子商取引が外資に100%開放されることになり、これに合わせ、こうしたビジネスの運用に関する幾つかの条件も追加された。

<インベントリー型は開放せず>

 インドの外国直接投資(FDI)政策によると、外国企業は、条件付きながらインドにおける企業間の電子商取引ビジネスに100%まで出資が可能だ。日本のソフトバンクや米国のアマゾンなど、実際に外資の参入も進んでいる。

 

 こうした中、商工省の産業政策促進局(DIPP)は329日、企業間電子商取引の規制内容を明確化する通達を出した。それによると、企業間電子商取引ビジネスの中でも、100%外資開放されているのは「マーケットプレイス型」だ。これは、販売業者に対してオンラインの売買プラットホームを提供し、電子商取引の場を提供する形態を指す。一方、「インベントリー型」は外資に開放しないとしている。インベントリー型とは、電子商取引業者自身が商品・サービスの在庫を管理し、消費者に直接販売する形態だ。

 

<売り上げで外資に条件も>

 また、外資によるマーケットプレイス型電子商取引ビジネスの条件も新たに発表された。特に注意すべきなのは、1つの出店者の売り上げが売り上げ全体の25%を超えてはならない点だ。インドのマーケットプレイス型電子商取引では、さまざまな商材を扱う大口出店者が存在し、売り上げの相当部分を占めることが常態化している。このため、外資には多くの出店者を募ることが求められる。商品の保証は出店者自身が行い、マーケットプレイスを運営する電子商取引業者は商品の保証や直接または間接的な販売価格の操作をすることはできない。ただ、マーケットプレイス運営企業は、出店者に対し、倉庫、物流、受注、コールセンター、代金回収などの補助業務を提供することは可能だ。

 

 インドのeコマース市場大手のフリップカートやスナップディールなどは、いずれも外資との合弁形態を取っており、前述の新条件の適用対象だ。これら先行企業にとっては新条件が不利に働くのではないか、と指摘する当地経済誌もある。しかし、食品や雑貨を扱う店舗を展開する小売り大手フューチャー・グループのキショール・ビヤニ会長は、これまで大幅値下げなどで小売市場を席巻してきた電子商取引に対し、「今回の発表は国内小売業界に平等性をもたらす大きな一歩だ」と歓迎している(「エコノミック・タイムズ」紙330日)。

 

 インドのeコマース産業は、この10年で約100億ドルの外国投資があり、2015年には約50億ドルの外国資金が流入したと報道されている(「ビジネス・スタンダード」紙330日)。20162月末に発表された国家予算案では、インドで生産された食料品の小売事業に対し100%外資開放が提案されるなど、ここにきて小売業界における外資開放の動きが目立つ。

 

(古屋礼子)

(インド)

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