うま味調味料に対してはセーフガードを発動

(ベトナム)

ハノイ発

2016年04月12日

 商工省は3月10日付で、ベトナムに輸入される「うま味調味料(HS2922.4220)」に対し、セーフガードを発動する決定をした(2016年3月10日付商工省決定920/QD-BCT号)。施行は3月25日から2020年3月24日までの4年間。発動の理由として、2011年から2014年までの4年間でうま味調味料の輸入量、特に中国からの輸入が急増していることが挙げられる。

<発動期間は325日~2020324日の4年間>

 セーフガードは、特定品目の輸入急増による国内産業への重大な損害の防止を図るために認められている緊急措置だ。同措置はGATT19条に基づき、WTOの「セーフガードに関する協定」において、発動要件や手続きなどが明確化されている。

 

 201568日に当地台湾系うま味調味料製造大手ベダンが、同商品に対してセーフガードを発動するよう商工省に要請したことが発端となっている。その後、同省は91日に同措置発動に関する調査を決定、6ヵ月間で結論を出すことになっていた(2015年9月30日記事参照)。同措置決定の所管は同省競争管理局になる。

 

 今回の課税期間は、2016325日から2020324日までの4年間。課税額は通常の関税に加え、重量などを基準とした従量税が加算され、1年ごとに課税額が異なる(表参照)。セーフガード措置は最長で4年以内、延長した場合は合計で8年までとなる。同品目の輸入数量の3%以下の国・地域は適用除外となっている(同決定付録1)。

表 セーフガード課税期間と1トン当たりの課税額

<中国などからの輸入が急増>

 同決定の最終報告書によると、同措置発動の要因として、うま味調味料の国内消費量の増加に比べ、輸入量が急増したことが挙げられる。輸入量は、2012年が18,143トン(前年比2.0倍)、2013年が43,935トン(2.4倍)、2014年が58,446トン(33%増)。一方で、国内消費量は2012年が0.5%増、2013年が10.9%増、2014年が2.5%減だった。

 

 同省はベトナムに輸入されるうま味調味料の急増により、国内メーカーの販売量、生産量、売上高、利益、雇用などが落ち込んでいると結論付けている。特に、同製品の輸入元は中国と断定し、具体的には2014年の中国経済の減速と米国の同品目に対するアンチダンピング関税適用により、供給過剰となった中国製品がベトナムへ大量に輸出されたものとみている。

 

 同省が、うま味調味料以外にセーフガードを発動しているのは植物油で、課税期間は201357日から201756日までの4年間。また、ビレットや棒線など一部鉄鋼製品に対しては、2016322日~107日の期間、暫定セーフガード措置を発動している。

 

(佐藤進)

(ベトナム)

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