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外国人幹部・専門職の就労許可証審査を一層厳格に

(シンガポール)

シンガポール発

2016年04月21日

 リム・スイセイ人材相は4月8日、幹部・専門職の外国人就労許可証「エンプロイメント・パス(EP)」の審査に新たな基準を導入して厳格化する方針を明らかにした。申請者の能力や給与水準に加え、その企業がどれだけ地元人材を幹部・専門職に登用しているかも審査対象とする。地元人材の登用に消極的と見なした企業約100社に対しては既に改善を求める通告書を送付しており、改善がない企業に対してはEPの新規取得や更新を却下する可能性があるとしている。

<企業の地元人材登用も審査>

 リム人材相は48日の人材省(MOM)の予算審議で、外国人幹部・専門職向け就労許可証のEPの審査を厳格化する方針を明らかにした。MOMが引き続き、EPを申請した外国人個人の学歴、経験、給与水準を審査するのに加え、今後は政労使代表からなる「公平で革新的な雇用慣行のための政労使連合(TAFEP、注)」が、当該企業が(1)労働力の中核として地元人材を登用しているか、(2)地元人材を登用していない場合には、将来登用する明確な意思があるか、(3)現在も将来も労働力の中核として地元人材を登用する意思がない場合、その企業が国内経済や社会に貢献しているか、についても審査する。

 

 リム人材相は、(1)~(3)の基準に満たない企業について、TAFEPの勧告に基づき「監視リスト」に入れると述べた上で、地元人材の登用に関して改善がない企業については、EPの新規申請や更新など外国人労働者の雇用に関する特権を停止する可能性についても言及した。

 

 MOMは、外国人の幹部・専門職種にEP〔基本月給3,300シンガポール・ドル(約267,300円、Sドル、1Sドル=約81円)以上〕、中技能職種に「Sパス」(2,200Sドル以上)、建設労働者や工場労働者など低技能職種に「ワーク・パミット(WP)」と、外国人労働者の技能や学歴、就労経験、賃金に応じて異なる種類の就労許可証を発給している。EPには1社当たり雇用できる人数に上限がなく、SパスやWPと異なり雇用主に外国人雇用税が課されることもない。

 

 政府は2010年以降、労働生産性の向上を促すために、外国人労働者の受け入れ抑制へと政策を転換した。WPSパスについては外国人雇用税を段階的に引き上げ、1社当たり雇用できる人数の上限を引き下げるなど、外国人雇用の規制を強化してきた。20148月からはEP申請時に求人広告の掲載を義務付けたのに続き、201510月には幹部・専門職への地元人材の登用が少ない企業のEP審査を厳格化した(2015年7月23日記事参

 

<約100社に改善を通告>

 人材省の統計によると、201512月末時点の外国人労働者は1387,300人(表参照)。EP取得者の伸び幅は201112月末時点の前年比32,100人増から、201512月末には前年比9,000人増へと縮小した。リム人材相は、EPの発給基準となる月給3,300Sドル以上の全労働者(シンガポール国民を含む)のうち外国人は21%にとどまるものの、依然として一部の国民の間には外国人が多過ぎるとの見方が根強いと指摘し、その理由について、「一部企業にEP取得者が集中しており、このことが国民の間に政府がEP導入にリベラルな対応をしているという錯覚を与えている」と述べた。

表 外国人労働者の就労許可証別の推移

 リム人材相によると、TAFEPは既に幹部・専門職への地元人材の登用に消極的な企業約100社に改善を求める通告書を送付している。これら100社は社員に占めるEPの割合が50%以上で、地元人材登用の意思がないと見なされた企業で、幅広い業種にわたる。TAFEPは向こう23ヵ月、これら100社の人材育成策の見直しに向け、それぞれの企業と取り組むとしている。これまでのところ、100社はおおむねTAFEPに協力的だという。地元人材の登用に消極的な企業に厳しく対処する理由として、「外国人排斥ではないが、これら企業は国民と外国人労働者の対立を深めているためだ」と説明した。

 

(注)TAFEPTripartite Alliance for Fair Progressive Employment Practices)は20065月に、高齢者や女性など公平な雇用を推進するために設置された政労使代表からなる機関。シンガポール国家経営者連盟(SNEF)、全国労働組合会議(NTUC)の代表が共同委員長を務める。

 

(本田智津絵)

(シンガポール)

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