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「法制度の未整備・不透明な運用」が最大の投資リスク-2015年度アジア・オセアニア進出日系企業実態調査(2)-

(ベトナム)

ハノイ発

2016年04月11日

 ベトナム進出日系企業の経営や活動状況を報告する後編は、投資環境上のリスク、原材料・部品の調達、輸出入の状況および賃金について。リスクは「法制度の未整備・不透明な運用」がトップだった。賃金の上昇率は前回調査と同じく高い水準にある。

<改正投資法・企業法の施行細則発効の遅れが影響か>

 投資環境上のリスクとして対象の15ヵ国で挙げられた項目の中で、ベトナムは前回同様「法制度の未整備・不透明な運用」がワースト3位となった(表1参照)。「税制・税務手続きの煩雑さ」がワースト4位、「行政手続きの煩雑さ」がワースト5位と続いている。

 ベトナムでのリスク上位5項目は前回と同じで「人件費の高騰」を除く、うち4項目の回答率が上昇している(表2参照)。特に「法制度の未整備・不透明な運用」については、20157月に施行された改正投資法・企業法の施行細則の発効が遅れたため、現場レベルで手続き面の遅延が影響したことが考えられる。新しい法令が毎年発効されて事業環境は徐々に整備されている一方で、施行当初は円滑に導入されないのが課題となっている。

 

 「インフラの未整備」を挙げた企業の83.7%が「電力」を問題視しており、「通信(49.0%)」「道路(40.8%)」と大きく上回った。

<現地調達率は依然低いも2010年比では向上>

 ベトナム進出日系企業の「原材料・部品の調達先」で「現地」は32.1%だった(図1参照)。中国(64.7%)、タイ(55.5%)、インドネシア(40.5%)、マレーシア(36.0%)に比べて現地調達率は依然低い水準にある。一方で、前回調査の33.2%、前々回の32.2%と、ここ数年はほとんど変わらないものの、2010年と比べると9.7ポイント向上している。南北別にみると、回答企業のうち北部は電子部品、輸送機器部品など、南部は食品加工、衣服、繊維などが多いという違いがあるが、北部が29.2%、南部は36.2%となっている。

 現地調達先は、地場企業(41.2%)、進出日系企業(45.1%)、その他外資企業(13.7%)となっている(図2参照)。ベトナムはその他外資企業の割合が他国と比べて高く、うち53.1%が台湾企業となっている。

 

 ベトナムにおける現地調達に占める地場企業からの調達率は13.2%(前年度比1.2ポイント減)にとどまっており、中国(36.8%)、タイ(24.1%)、マレーシア(21.3%)、インドネシア(20.3%)などと比べて低い水準にある。ちなみに、南北別では北部が9.3%、南部が17.1%となっている。

<高まる日本向けの輸出の割合>

 売上高に占める輸出額の割合について、「全額輸出」と回答したベトナム進出日系企業は32.7%(前年度比0.7ポイント増)と、他国と比べて輸出の占める割合が高い(図3参照)。

 輸出先は日本向けの比率が最も高く、前年度から4.2ポイント増の62.5%を占めている(図4参照)。製造業の57.5%に対して非製造業が80.3%と高いのは、非製造業の回答企業87社の20%強を占めるIT企業の日本向け輸出割合が平均97.5%と高いことが要因と考えられる。

 「人件費の高騰」は、ベトナム投資環境上のリスクで3番目に高い項目だった。2015年の賃金上昇率は10.0%で、前回(9.9%)に引き続き高い。さらに、地域1(ハノイ市、ホーチミン市など)の最低賃金は、2016年から月額350万ドン(約17,500円、1ドン=約0.005円)と前年比12.9%高くなっている。現在の賃金水準は中国の半額程度で、しかもドン・ドルレートがドン安傾向にあり、ドル建てでみると賃金は上がりにくい状況ではあるものの、将来的に最低賃金が急上昇すれば、ベトナムの賃金メリットは薄れる可能性もある。

 

(金子信太郎)

(ベトナム)

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