タイとマレーシア、取引の現地通貨建て決済の促進で合意

(タイ、マレーシア、ASEAN)

バンコク発

2016年03月22日

 タイ中央銀行は3月14日、マレーシア中央銀行と、両国間の貿易などの取引で現地通貨建て決済を促進する枠組みに合意した。両国のそれぞれ3行が相手国の通貨決済の指定銀行となる。両中銀はまた、ASEAN金融統合の枠組みに基づく適格ASEAN銀行(QAB)認定について、両国間での基本合意書を締結した。認定される銀行に対しては、相手国での市場アクセスの向上や企業活動の柔軟性が約束される見通しだ。

<現地通貨建て決済銀行にそれぞれ3行を指定>

 314日付タイ中央銀行(BOT)の発表(No.9/2016によると、BOTとマレーシア中央銀行(バンク・ネガラ・マレーシア)は、両国間の貿易の決済通貨として、タイ・バーツおよびマレーシア・リンギの使用を促進するための枠組みの運用を開始した。

 

 これに伴い、タイ側ではバンコク銀行、CIMBタイ銀行、カシコン銀行がリンギ決済銀行に、マレーシアではバンコク銀行(マレーシア)、CIMB銀行、メイバンクがバーツ決済銀行にそれぞれ指定された。上記枠組みの下、これらの指定銀行を通じて両国間の貿易決済に加え、預金や貿易融資、各種ヘッジ商品の販売などの分野で相互の通貨の利用を促進する。

 

 BOTは、物品およびサービス貿易の双方での現地通貨建て決済の拡大により、両国で輸出入ビジネスに携わる企業にとって為替変動リスクが軽減されるとともに、コスト削減が図れる、とメリットを強調している央銀行Q&A

 

 なおBOTによると、マレーシア企業の場合、現行の規制の下でもマレーシア国内の銀行を通じてバーツ建て金融サービスを受けることができるが、今回の新たな枠組みにより、指定銀行を通じた決済により、一層のコスト削減を図ることが可能になるという。他方、タイ企業の場合、現行の規制の下では、リンギ建ての預金や融資などの業務を国内の銀行経由で行うことは認められていないため、新たな枠組みがタイ国内でのリンギ建て金融サービスの道を開くことになるとしている。

 

<適格ASEAN銀行認定に関しても基本合意>

 またBOTは同日、マレーシア中銀との間で、ASEAN金融統合の枠組みに基づく適格ASEAN銀行(QAB)認定について、基本合意書(HOAHeads of Agreement)を締結したと発表した(No.10/2016

 

 ASEANは現在、ASEAN経済共同体(AEC)の金融統合の柱に入っている「ASEAN銀行統合の枠組み(ABIF)」の定める目標に従い、2020年を目標期限として、各国の金融関連規制の調和や、金融サービスに関するインフラ構築を図っている。自己資本比率など厳しい基準を満たした域内の銀行をQABに認定する取り組みは、ABIFの目標の中でも最も重要な1つであり、QABに認定された銀行が将来的にASEAN域内での市場アクセスや国境を超えた活動を柔軟に行える制度・環境づくりを目指している。

 

 QABの認定は、ASEAN10ヵ国が一律に同じ基準で行うのではなく、まずは先行する国が2国間以上で取り決めに合意し、相互に認定を行い、全加盟国間に広げることを目指している。今回のタイとマレーシアの合意はその最初のステップと位置付けられるもので、今回の基本合意をベースに、各国の銀行に対するQAB認定に向けたルールや取り決めに関する交渉が進められることになる。

 

(伊藤博敏)

(タイ、マレーシア、ASEAN)

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