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継続的にトルコ市場浸透を図る欧州企業-主要見本市にみるライバル・パートナー企業の動向-

(トルコ)

イスタンブール発

2016年03月28日

 金属加工技術に関する中東地域最大の専門展示会「ウィン・ユーラシア・メタルワーキング(WIN EURASIA Metalworking)」が2月11~14日、イスタンブールで開催された。欧州、中東、北アフリカ、CIS諸国から多くの出展者・来場者が集まるトルコの代表的な展示会の1つで、毎年2月にイスタンブールで開催されている。継続出展する欧州企業からはトルコが有望市場と強く認識されており、昨今の治安情勢も現時点では影響は限定的、という声が多く聞かれた。

17ヵ国・地域から約250社が出展>

 ウィン・ユーラシア・メタルワーキングは、金属加工分野「ウィン・メタルワーキング(Win Metalworking)」、表面処理分野「サーフェス・トリートメント・ユーラシア(Surface Treatment Eurasia)」、溶接分野「ウェルディング・ユーラシア(Welding Eurasia)」の3展示会から構成される専門展示会で、金属加工分野が最大の展示面積を有する。17ヵ国・地域から約250社が出展し、約200社がトルコ国内、約50社が海外からの出展(注)で、ドイツとイタリアは前年に引き続きナショナルパビリオンを設置した。

 

 来場者数は主催者発表によるとほぼ例年どおりの29,821人だった。一般の来場者に加え、トルコ経済省による招聘(しょうへい)者や各国からの訪問団も訪れ、トルコはもちろん欧州、中東、北アフリカ、CIS諸国など、さまざまな地域から関係者が集まる点が特徴だ。メーンの出展分野とは異なるが、産業用ロボットや自動車サプライチェーンに関する展示コーナーも設置されており、これらのエリアには在トルコ日系企業による展示もあった。

<出展の半数以上がドイツとイタリアの企業>

 海外からの出展企業約50社のうち、ドイツ企業が29社、イタリア企業が7社で、両国で海外出展企業の半数以上を占め、存在感は大きかった(表参照)。ドイツパビリオン出展企業の数社にインタビューしたところ、ウィン・ユーラシア・メタルワーキングに継続出展している企業が多く、トルコのパートナー企業やトルコ系ドイツ人スタッフを活用して販売後のサポート体制を整え、本格的に販路拡大に取り組んでいた。

<東アジアからの出展は激減、貿易から投資にシフト>

 一方、東アジアからの出展動向に関しては大きな変化がみられた。2014年には日本、韓国、台湾が、2015年には韓国がナショナルパビリオンを設置していたほか、韓国や中国からの出展企業数も年々増加し、東アジア企業による販路・代理店開拓活動が活発化していたが、2016年は一転して東アジアからの出展がほとんどみられなかった。ブース内にポスターが展示されているだけで担当者が不在という企業もあり、欧州企業と比べるとトルコ市場に対するビジネス姿勢に違いが出た。

 

 ただし、東アジア各国がトルコに関して関心を失っているとはいえない。トルコ・東アジア間のビジネス全体で考えれば、日本、韓国、中国からの対トルコ投資額は各国とも増加傾向にある。特に、中国は2015年上半期の投資額が前年同期比で16倍になるなど、プロジェクト関連の投資を中心にビジネスが活発化している(2015年12月8日記事参照)。従来、韓国や中国はトルコに対して貿易拡大路線を取ってきたが、ビジネス環境の変化に伴い、貿易から投資へと関心がシフトしている可能性がある。

 

<治安情勢のビジネスへの影響は限定的か>

 2015年から2016年にかけて、首都アンカラやイスタンブールで爆発事件が続いており、治安情勢に対する不安が聞かれる。しかし、参加する欧州企業は冷静にビジネスチャンスを探り続けている。ドイツのパンチングマシンメーカー担当者は「毎年、この展示会に参加している。爆発が起きたからといって参加しないことは考えられない」と語る。また、イタリアの面取り機メーカー担当者は「継続して参加することで知名度と信頼感を高め、トルコでのビジネスを成長させたい。そのため毎年、出展している」とコメントし、市場獲得のためには継続的な取り組みが重要という認識を示した。

 

 ある日系機械メーカーのグループ企業(在ドイツ)担当者は「展示会には4年連続で出展している。知名度と信頼感の上昇が成長のカギ。今年は例年より大きなブースで大型機械を展示できたため、ブースの来場者や商談が増えた。製品に対する評価も高い」と話し、継続的な取り組みの結果から、今後のビジネス拡大に向けた手応えをつかんでいる。

 

 これらのコメントから分かるとおり、在欧州企業はトルコを引き続き重要なターゲット市場と捉えており、販路拡大路線に変更はない。ドイツやイタリアを中心とする欧州企業は、継続的にウィン・ユーラシア・メタルワーキングに出展し、各社の製品を実際に見せながらネットワークを広げることで、トルコ市場における自社ブランドや商品の浸透と定着を目指している。EUはトルコとの間に関税同盟を締結しており、地域的なつながりも強い。一般的に、トルコにおいて日本の「ものづくり」への評価やイメージは良いといわれているが、金属加工分野における欧州企業の存在感と競争力は引き続き強く、日本企業にとって強力なライバルといえる。

 

(注)出展企業数については、配布資料や主催者提供資料などに基づきジェトロが集計した。主催者プレスリリースに記載されている出展者数(Exhibitors)とは集計方法が異なる。

 

(エライ・バシュ、中村誠)

(トルコ)

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