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観光産業が有望、米国の輸出管理規制に留意を-東京で「キューバ・ビジネスセミナー」開催-

(キューバ)

ビジネス展開支援課、米州課

2016年03月28日

 ジェトロは3月11日、東京で「キューバ・ビジネスセミナー」を開催した。セミナーには151社・団体から212人が参加し、3人の講師がキューバの政治・経済システム、キューバへの輸出に関する米国の輸出管理規則(EAR)、キューバビジネスで留意すべき事項について解説した。

<米国から年間1,000万人が訪れるとの予測>

 20141217日に米国とキューバの国交正常化交渉の開始が発表されて以降、米国は対キューバ経済制裁を段階的に緩和してきた。そして20157月の国交回復、20163月のオバマ大統領の公式訪問と続き、キューバへの関心は一層高まりをみせている。

 

 セミナーでジェトロ・メキシコ事務所の峯村直志所長は、キューバの政治・経済システムとビジネス機会について、以下のように解説した。

 

 キューバの経済システムは、取引相手が国営企業であること、政府により需要が決定されることなど、社会主義国ならではだ。政府が国家予算を多く割り当てる産業が重点産業で、GDPに占める割合も大きくなる。

 

 キューバ国家統計局(ONEI)によると、2014年の経済活動別GDPは、構成比が高い順に健康・福祉産業、商業、製造業、運輸・倉庫・通信産業、教育産業となっているが、今後、最も発展が期待されるのが、ホテル・レストランを含む観光産業だ。2014年にキューバを訪れた観光客300万人のうち、約9万人が米国人だった。米国では観光目的のキューバへの渡航が禁止されているが、2015年に入り、商用、教育、宗教活動などが目的の渡航については要件が緩和されたことから、2015年の米国人訪問者数は前年の2倍以上に増加したとみられている。米国とキューバは20162月に民間航空機の定期便の運航再開に合意しており、両国の人的交流の拡大が見込まれる。

 

 2014年の外国人訪問者数を国籍別にみると、最も多いのはカナダの112万人で、外国人観光客数の約3割を占めた。観光産業が有望視されるのは、米国人の観光目的でのキューバ渡航が解禁されれば、年間1,000万人の米国人がキューバを訪れるとの予測もあるからだ。宿泊施設は不足しており、観光産業には大きな需要があるといえるだろう。

 

 輸入代替政策も、キューバの特徴だ。政府は2013年にマリエル開発特区を設置し、積極的に投資誘致を行っている。モノ不足やインフラの老朽化が課題で、外国企業の投資で国内生産と国内向けのモノの供給量を増やそうとしている。

 

 しかし、キューバ政府の方針には留意が必要だ。旧ソ連崩壊後に経済の自由化を進めたものの、ベネズエラの後ろ盾を得ると、反自由化へとかじを切った。そして、原油価格の下落によりベネズエラ経済が低迷したことから、再び自由化を進めている。キューバには潜在的なビジネス機会があるが、政府の方針とともに、今後の米国との関係も注視する必要がある。

 

<第三国からの輸出でも米国が規制>

 続いて、安全保障貿易情報センターの新留二郎参与が、米国で生産された製品(米国原産品)や、特定の割合を超えて米国原産品が含まれている外国製品(組み込み品)などを日本からキューバへ再輸出する際の、米国の輸出管理規則(EAR)について解説した。

 

 キューバ向け再輸出で考慮すべきEARの主な規制としては、リスト規制、エンドユース・エンドユーザー規制、禁輸国規制の3つがある。リスト規制は、キューバ向け再輸出の場合は全ての米国原産品、米国原産品の組み込み比率が25%超の品目(デミニミスルール)、米国の技術・ソフトウエアにより製造された製品が対象で、米商務省の輸出許可が必要になる。なお、テロ支援国家指定の解除を受け、デミニミスルールの組み込み比率は、これまでの10%超から25%超へ緩和された。

 

 エンドユース・エンドユーザー規制は、違反者(Denied Persons)、米国の安全保障・外交政策上の利益に反する顧客(Entity List)、大量破壊兵器の拡散制裁者(NPWMD)などを米国政府がデータベース化しており、このデータベースで顧客のスクリーニングを行うとともに、キャッチオール規制を順守することで対応できる。禁輸国規制において、キューバ向けの輸出・再輸出は全ての品目が許可対象(原則不許可)となっているが、(1)医薬品・医療用機器の輸出、(2)電気通信品目や農業品目などの輸出・再輸出、(3)キューバ人の利益のために使用される品目の輸出・再輸出は、一般的に許可またはケース・バイ・ケースで許可される。ただし、キューバ向けに適用可能となっている許可例外(APRRPLCCDSCPなど)の適用条件を満たす場合には、これらの許可例外を適用して、米商務省の許可を取得することなく再輸出することができる。

 

 デミニミスルールを活用する再輸出およびその修理対応、許可例外を活用した再輸出ならびに許可申請すべき再輸出などについて、ケース別に紹介した新留氏は「米国市場向けの取引が多い日本企業は、これまでは米国との関係を気にして、純粋な日本製品であってもキューバとの取引に二の足を踏んでいたが、今後は日本企業の姿勢も変わるだろう」と述べた。

 

<キューバビジネスは慎重に、との指摘も>

 キューバビジネスに27年間従事し、駐キューバ日本大使アドバイザーやジェトロのハバナ連絡員を務める福田裕之氏は、キューバビジネスの魅力の1つとして取引における商談の大きさを挙げた。国内の全て、あるいは一定の需要をまとめて国営企業が発注するため、1回の商談の規模が非常に大きいという。しかし、キューバとの取引は全て政府傘下の公団との取引であること、公団への与信判断の難しさ、通常360日の支払い猶予を求められ、輸出信用状の代金回収に伴う手続きが煩雑なことなど、キューバビジネスのルールは特殊で、慎重に進める必要がある、と指摘した。

 

(山本万里奈、西澤裕介)

(キューバ)

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