不動産取引にかかる契税と営業税の減免措置を発表

(中国)

北京発

2016年03月02日

 中国政府は、不動産取引にかかる契税(不動産取得税)と営業税の優遇策を発表した。世帯で住宅を初回購入の場合、床面積140平方メートル超については契税の税率を3%から1.5%に引き下げ、また購入して2年以上の住宅を売却する場合、140平方メートル超についても営業税を免除すると決定した。「非一線都市」(地方都市)における不動産在庫の解消や中古住宅の取引の活性化に寄与するとみられている。

<購入して2年以上の住宅売却も営業税を完全免除に>

 中国の財政部、国家税務総局、住宅都市農村建設部の3部門は219日、「不動産の取引にかかる契税、営業税の優遇策を調整することに関する通知」を公布し、222日から実施すると決めた。

 

 具体的には、契税については、世帯で住宅を初回購入の場合、床面積が90平方メートル以下なら1%、90平方メートル超なら1.5%の税率を引き続き適用する(表参照)。2軒目を購入する場合には、床面積が90平方メートル以下なら3%から1%に、90平方メートル超なら3%から2%に引き下げる。購入して2年以上の住宅を売却する場合の営業税は、完全に免除することになった。

 

 ただし、北京市、上海市、広州市、深セン市の4都市については、2軒目購入の契税の引き下げおよび営業税の免除を適用しない。

<大型住宅などの取引活性化に期待>

 従来の規定と比較すると、「普通住宅」と「非普通住宅」での区別がなくなり、床面積に基づいて異なる税率を適用することになった。契税については、世帯で住宅を初回購入する場合、90平方メートル以下は従来どおり1%、90140平方メートルも従来どおり1.5%を適用する一方、140平方メートル超の非普通住宅に分類される大型住宅や高級住宅、別荘を購入する場合、従来の3%から1.5%に引き下げられることになった。

 

 また、営業税については、従来は「非普通住宅」については、購入から2年以上で売却する際にも売却益が課税対象となっていたが、新規定では一律で免税となる。香港系不動産仲介大手の中原地産の張大偉首席アナリストは「この緩和政策は非一線都市の在庫解消に有利で、今回の営業税免税は大型住宅、高級住宅、別荘などの取引活性化に大きく寄与し、住環境改善型の住宅需要を刺激する」と指摘した(「新京報」220日)。

 

<相次ぐ優遇策>

 不動産市場の発展は、中国経済の成長にとって重要な要素だ。2015年末に開催された中央経済工作会議では、5つの重点任務の1つとして不動産在庫の解消を挙げていた。2016年に入り、個人住宅ローンの利用条件の緩和、公共賃貸住宅の租税優遇策の継続、住宅積立金について一律で1年定期預金の基準金利を適用するなど、不動産の振興策の発表が相次いでいる。住宅ローン利用条件の緩和策は住宅購入の制限を実施していない都市を対象として実施しているが、今回の契税と営業税の減免も、北京市、上海市、広州市、深セン市は適用対象外となった。社会科学院財経戦略研究院の蒋震研究員は「地方により、不動産市場の需給不均衡が異なるので、政府は差別化した対策でコントロールするようになった。一線都市では安定した政策を維持し、非一線都市では優遇策の拡大を通じて不動産市場の需要を掘り起こし、在庫の解消を加速すべきだ」との見方を示した(「21世紀経済報道」219日)。

 

(張敏)

(中国)

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