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特定食品のネット販売が許可制に

(香港)

香港発

2016年03月08日

 香港特別行政区政府(以下、香港政府)は2月22日、インターネットを通じた生鮮肉や乳飲料など特定食品の販売に際しては、ネット販売の運営業者が政府から許可を取得することを義務付けた。ネットを通じた食品販売が増える一方で、食品安全への懸念からネットでの食品販売に対する規制について世間の関心が高まっていることを受けた措置だ。

<ネット販売運営業者の許可取得義務を明確化>

 許可取得が義務付けられたのは、インターネットを通じて特定食品(注1)を香港の消費者へ販売するネット販売の運営業者。これまでも、特定食品を消費者に販売する業者は「食品ビジネス規則(Food Business RegulationChapter 132X)」(注2)に基づき、香港政府の許可を取得する必要があった。しかし、インターネットにより当該品目を販売する場合にも許可が必要かどうかは不明確で、実際は許可なく販売されていたケースがほとんどだったとみられる。

 

 香港政府がウェブサイトで、インターネットで食品を販売するに当たっての条件としていたのも、(1)生鮮・冷蔵・冷凍の肉または家禽(かきん)を輸入する場合の輸入ライセンスの取得、(2)狩猟肉・肉・家禽を輸入する場合は認可された国から輸入、(3)牛乳・乳飲料・冷凍菓子を輸入する場合の商品登録、(4)包装済みの食料品への栄養成分の表示、(5)食品の輸入者・卸売業者の登録の順守、などで(注3)、特定食品の全てだとはっきり示す内容とはなっていなかった。

 

 インターネットを通じた食品販売に対する香港政府の規制が必ずしも明確ではない中、20157月には、台湾企業が製造したサンドイッチをネット販売などにより入手した消費者の間で食中毒が発生し、ネットによる食品販売に対する規制が十分かどうかについて、世間の関心が高まるようになった。また、香港の消費者相談窓口に対しても、ネット販売された刺し身などが原因で食中毒が発生したなど、消費者からのトラブルや苦情の申し出がこれまで100件以上寄せられているなど、消費者側のこうした食品の安全性に対する関心が高まっていた。

 

<食品の衛生管理などが許可取得の条件>

 こうした背景から、香港政府は香港立法会(日本の国会に相当)での議論も踏まえ、ネット販売の運営業者に対し、運用指針である「A GUIDE TO APPLICATION FOR RESTRICTION FOOD PERMITSOnline Sale of Restricted Food)」(注4)を示し、既存の「食品ビジネス規則」に基づき、222日から、特定食品を販売する場合に政府の許可を取得する必要がある旨を明示した。この許可を取得するには、食品の輸送時に雑菌などが混入しないよう管理するとともに、保管時は食品ごとに適正温度を保つことなどが条件となる。

 

 香港で日本産食品を扱っているネット販売の運営業者によると、香港政府による当該措置の実施を受け、刺し身や冷凍牛肉などの販売を停止しているが、措置開始日の222日に販売許可を申請しており、香港政府からの回答を待っている状況だという(229日時点)。同業者によると、香港政府は同業者のオフィスなどの立ち入り調査も行ったが、その際、販売許可の回答が得られるまで申請から3週間程度を要するとの発言があったという。

 

 香港におけるフルーツ、和牛、水産物など日本産食品の人気を背景に、日本産生鮮食品を扱う「産直」サイトが増えている(表参照)。このような中、これまで食品を扱ったことがない香港のネット販売業者が、新たに日本産食品の取り扱いを目指す動きも出始めていた。今回の措置について、日系のネット販売関係者は「衛生管理が不十分な業者がネット販売に参入してきている中で、今回の措置は、しっかりした衛生管理体制を持つ事業者にはビジネスチャンスになる可能性がある」と指摘している。

(注1)ネット販売の運営事業者を含めた食品販売業者が、消費者への販売の際に政府の許可が必要となる対象品目は、「食料ビジネス規則」(注2参照)の22ページに記載されている。具体的には、生鮮肉、冷蔵肉(包装前の冷蔵牛肉・羊肉・豚肉以外)、包装済みの冷蔵牛肉・羊肉・豚肉、冷凍肉、生鮮・冷蔵・冷凍の狩猟肉、生鮮・冷蔵・冷凍・生きた魚(養殖場の生きた魚を除く)、生きた水鳥(養鶏場または卸売市場の生きた水鳥は除く)、その他の生きた家禽(養鶏場または卸売市場の生きた家禽は除く)、生鮮・冷蔵・冷凍の家禽枝肉、生鮮・冷蔵・冷凍の貝類(特定の水域から採れた貝類を除く)、調理・乾燥された肉、ソーセージ皮用の腸・動物の部位、肉・脂肪を含むパイ・ソーセージ類、牛乳・乳飲料、ソフトクリーム、冷凍菓子、中国ハーブティー、ボトル密閉されない飲料、カットフルーツ、自動販売機で販売される食品、刺し身、すし、生食用カキ、生食用肉、チャーシューなどの中華風焼肉(Siu Mei)、中華ソースで調理された食品(Lo Mei)、ハーブゼリー(Leung Fan)、まんじゅう類(Man Tau Lo)が対象。

(注2食料ビジネス規則(Food Business Regulation(Chapter 132Xは、香港政府のウェブサイトに掲載。

(注3)食品のネット販売に関する規則条件など留意事項(2014912日時点)は、香港政府(食物安全心)のウェサイトで閲覧可能。

(注4「A GUIDE TO APPLICATION FOR RESTRICTION FOOD PERMITS(Online Sale of Restricted Food)」は、香港政府(香港食品環境衛生署)のウェブサイトに掲載。

 

(田中弘幸、周天任)

(香港)

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