世界最大の分析機器展示会がアトランタで開催

(米国)

ものづくり産業課、シカゴ、アトランタ発

2016年03月31日

 世界最大の分析機器展示会「Pittcon 2016」が3月6~10日、ジョージア州アトランタで開催され、世界30ヵ国から約850の関連企業・団体などが出展した。ジェトロが設置したジャパンパビリオンには10社が参加し、訪れたバイヤーと商談を行った。

<ジャパンパビリオンに10社が出展>

 Pittconは毎年、米国で開催される世界最大の分析機器と理化学関連機器の展示会で、学術・技術発表会も併催される。世界各国の分析機器や計測機器などのメーカーが最新の製品や技術を披露するため、最新情報を収集しようと大手企業やベンチャー企業、販売代理店が世界中から来場する。

 

 67回目となる今回はアトランタで開催され、米国内から600超、海外29ヵ国からも約250の企業・団体が出展した。海外からの出展で最も多かったのは中国の約60社で、日本、カナダ、ドイツ、英国が続いた。

 

 日本は分析機器市場の世界シェアが米国に次ぐ2位で、ドイツを加えて「分析機器先進3ヵ国」と呼ばれる。島津製作所、日立ハイテクノロジーズ、堀場製作所など大手メーカーをはじめ、40以上の企業・団体(日本企業の米国法人を含む)が参加し、このうちジャパンパビリオンには10社が出展した。各社は、密度計や濃度計測装置、はかりなどのほか、小型ポンプ、ドライエアー発生装置などの周辺機器を展示し、来場者や展示企業などと活発な商談を行った。ジャパンパビリオンの出展者からは「米国内の代理店情報や市場の潜在需要、理化学分野における産業構造を知ることができた」「非常に密度の濃い商談ができた」「大口商談が成立する可能性がある」などの声が聞かれた。

 

 日本電気計測器工業会によると、2016年の日本企業による電気計測器の売上高(海外拠点を含む)は8,246億円と見込まれている。近年、ライフサイエンス以外でも、食品や環境、鑑識などの分野における分析機器の出展が増加している。また、光学系やセキュリティー系など他分野の技術を応用して新規参入する企業も多いという。

<低コスト化やIT技術との融合がトレンドに>

 今回の最新の技術トレンドは、「膨大なデータの分析に要する時間の大幅な短縮」「操作をより容易にするワイヤレス技術やタブレット端末などの導入」「フィールドでの分析を可能にするポータブル化」とされ、分析機器の根幹となる感度や精度などの向上、低コスト化やIT技術との融合などが注目された。

 

 Pittconは出展企業と販売代理店とのマッチングにも力を入れており、提携する「日本科学機器協会」「中国(北京)分析機器展」のデータベースとも連動しているマッチングサイト、販売代理店やユーザー向けに分野ごとの製品紹介サイトを提供したほか、事務局を開設してネットワーキングの支援も行った。

 

 関連分野のセミナーやシンポジウムも多数開かれ、研究者や出展企業が研究成果や最新技術を発表した。新設された「ライブデモ」のエリアでは、来場者が出展企業の最新機器を実際に操作することができた。また、共同研究パートナーを探すネットワーキングも多数開催された。

 

 開会式では、分析化学界で権威のある「Pittconヘリテージ賞」の授賞式が行われ、日本電子(JEOL)創業者の風戸健二氏(故人)と伊藤一夫氏が受賞した。同賞はPittconとケミカル・ヘリテージ財団(CHF)によって2002年に創設され、受賞者は分析化学界の殿堂入りが認められる。これまでに米国人以外で受賞したのは、堀場製作所創業者の堀場雅夫氏(2006年)、島津製作所創業者の初代島津源蔵氏と2代目島津源蔵氏(2012年)、ドイツ人のギュンター・ラウキエン氏(2013年)のみだ。

 

 なお、次回Pittcon 20172017359日にイリノイ州シカゴで開催される予定。

 

(石川宗範、高橋貴洋、ラマース直子)

(米国)

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