外資誘致の投資促進庁、始動1年余で7件支援

(キルギス)

欧州ロシアCIS課

2016年02月17日

 外資誘致に注力するため、2014年に設立されたキルギス投資促進庁が活動を開始して1年半近くが過ぎた。キルギスの国家戦略に基づき、これまでに79件のプロジェクトを選別し、うち7件で支援を始めたという。同庁では地域別に担当を置き、日本は東・東南アジア担当が対応している。

<工場や鉄道、ホテルなどの建設を支援>

 キルギス投資促進庁2014318日、閣僚会議決定第158号「経済省付属投資促進庁の設立について」に基づいて創設が決定され、関連省庁との調整を経て同年9月に活動を開始した。同庁のウェブサイトでは、キルギスの投資環境や経済状況を紹介するほか、鉱山開発への入札案内(英語)、トルコでの投資フォーラム開催といった外国との投資交流の紹介(ロシア語)など新しい情報も掲載している。また、201624日には日本のロシアCIS貿易会(ROTOBO)訪問団を受け入れ、2国間協力に関する議論を行っている。

 

 この1年余りの活動を振り返り、同庁のアルマズ・サズバコフ長官は、2015年に投資額100万ドル以上のプロジェクト79件を選別し、この中から7件(繊維工場建設、食肉・乳製品コンビナート建設、熱電併給所および鉄道建設、ビシケク市内の開発公募、水力発電所5基および送電線架設関連施設建設、国際クラスのホテル建設、商業・娯楽施設の新設)の支援を始めている、と語った(経済・ビジネス紙「タザベク」電子版2016126日)。同長官によると、プロジェクトの選定に当たっては、国際水準とキルギスの国家安定発展戦略に合致することを条件として挙げている。なお、大統領令「国家安定発展戦略20132017」では、農業関連、エネルギー、鉱物資源開発、交通輸送通信、観光、サービスを開発優先分野に挙げている。

 

<既に日中韓や欧州などの企業が利用>

 先の閣僚会議決定によると、設立目的としてはキルギスへの外国投資誘致を活性化させ、維持することと規定しており、同庁では政府機関、地方庁、非政府組織、産業界などと協力しつつ実現を図るとしている。情報分析部、投資プロジェクト促進部、投資支援部、PPP(官民連携)開発部の4部からなる、職員21人の組織だ。

 

 同庁に国際協力機構(JICA)から派遣されている熊切一郎・投資アドバイザーによると、職員は平均28歳と若く、英語ができる優秀なスタッフで構成され、政府、民間を問わず利用できる体制が取られている。既に中国、トルコ、韓国、欧州、中東、インド、日本などの企業や公的機関が利用しており、将来的には企業誘致のワンストップサービスの提供を目指している、という。地域別に投資推進担当者が配置されており、日本については投資支援部の東・東南アジア諸国担当のスルガク・アバキロフ(Mr.Syrgak Abakirov)氏が行っている(英語可、電話:+996312623866Syrgak.a@gmail.com)。

 

(芝元英一)

(キルギス)

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