電気・燃料用製品も適合性評価の対象に－中南米における基準・認証制度の動向－

＜電気・燃料用製品は外国機関による認証も可能＞

　電気製品や燃料用製品をチリ国内で販売するには、経済省令298号12条（2006年2月1日官報掲載）に従い、品質および安全性に関する証明書を取得し、ラベル表示（安全性に関する警告表示や、冷蔵庫、冷凍庫、一般照明用蛍光灯などは電気効率に関するラベル表示も含む）を行わなければならない。

　証明書の取得は、国際標準化機構（ISO）の適合性評価の手引きに従ったものとなっており、以下のような方法がある。

（1）電気・燃料監督庁（SEC）の認定を受けた国内の試験所にて適合性評価およびラベル承認を受ける方法

（2）国際認定フォーラム（IAF）の認定を受けた外国の認証機関が発行する認証書の承認を受ける方法

（3）国家間の協定に基づく相互認証による方法

（4）チリ国内に承認機関が存在しない場合は、SECに販売許可（Resolucion）を申請する方法

　経済省決議書40号（2006年9月13日官報掲載）において、販売時に、電気製品の安全性に関する国際電気標準会議（IEC）規格を満たす証明書が必要な電気製品のリストが掲載されている。また、その他の製品が満たすべき規準は、以下のリンクから閲覧できる。

電気製品：

http://www.sec.cl/portal/page?_pageid=33,3397595,33_3401537&_dad=portal&_schema=PORTAL

燃料用製品：

http://www.sec.cl/portal/page?_pageid=33,3397596,33_4895651&_dad=portal&_schema=PORTAL

　なお、販売時にラベル表示が義務付けられている例として、履物（経済省令17号、2006年4月27日官報掲載－NCH1808）やプラスチック製品（経済省令197号、1987年8月20日官報掲載－NCH398、399ほか）などが挙げられる。

＜自動車、バス、トラックの排ガス規制を強化＞

　自動車・燃料関連では2013年1月以降、展示用小型自動車（重量2,700キロ未満）へのエネルギー効率ラベル表示が義務化されている（エネルギー省令61号、2012年）。

　排ガス基準に関しては、小型および中型自動車は2014年9月以降、EUのユーロ5、米国のTIRE2、BIN5が採用されている（運輸通信省令211号1991年、54号1994年）。バス（新交通システム「トランサンティアゴ」のバスは除く）およびトラックは、それぞれ2015年9月および10月以降、ユーロ4からユーロ5に変更された（55号1994年）。

　燃料の品質に関しては、エネルギー省令60号（2011年）に規定されている。また、航空機用の燃料（財務省決議書158号）や液化天然ガス（財務省決議書3922号）は、輸入時に品質に関する証明書が必要とされている。

＜大地震を受け、耐震基準の見直しも＞

　鉄筋コンクリート工事に用いられる鉄鋼の棒は、輸入時に税関にてサンプリングが行われ、チリ大学で品質の分析が行われる。品質基準を満たすと認められた場合は証明書が発行され、税関から取り出すことができる（開発省令1229号、1940年7月20日官報掲載）。また、公共事業やビルに用いられるセメント（HSコード：2523.2900）は輸入時に、住宅・都市開発省に登録されている建設に関する品質検査所が発行する証明書が必要とされている（経済省令288号2006年2月17日官報掲載および財務省令3709号2006年）。

　そのほか、建設関連の品質基準は以下のリンクから参照が可能だ。

http://proveedorestecnicos.minvu.cl/normas-tecnicas-obligatorias/

　なお、耐震規準に関しては、1996年にチリの耐震基準NCH433が承認され、2009年に修正が加えられていたが、2010年2月の大地震で第8州ビオビオや首都圏州をはじめ広域にわたり大規模な被害があったのを受け、住宅・都市計画省令117号（2011年2月25日官報掲載）により、新たに地盤の固さの評価も行われることになった。その後、省令61号（2011年12月13日官報掲載）により、現在の耐震基準が定められている。

（小竹めぐみ）