租税単位を18.0%引き上げ177ボリバルに
(ベネズエラ)
カラカス発
2016年02月19日
国家税関徴税統合庁(SENIAT)は、所得税などの税金や罰金、従業員手当や行政手続き料金などを計算する基準となる租税単位(UT:Unidad Tributaria)を150ボリバルから177ボリバルに18.0%引き上げた。租税組織法は、前年のインフレ率を基準にUTを改定するとしているが、実際には前年のインフレ率を大きく下回る改定となった。
<租税組織法の規定に準じない改定率>
2月11日付け官報第40846号にUT改定に関するSENIAT行政決定が公示され、1UTが150ボリバル(約0.75ドル、1ドル=200ボリバルの公式為替レートSIMADIにより換算)から177ボリバル(約0.89ドル)に18.0%引き上げられた。
租税単位UTは、租税組織法(2014年11月18日付特別官報6152号公示)第131条第15項の規定により、毎年2月15日までに前年のインフレ率を基準に、国会の財務常任委員会の賛意を得て改定される(表参照)。2016年2月時点で中央銀行は2015年の年間インフレ率を公表していないが、公表済みの2015年1~9月のインフレ率は前年末比108.7%に達しており、UTの改定率はそれを大きく下回っている。野党が多数を占める財務常任委員会は、改定率がインフレ率を大きく下回っているのは規定と異なるとして、1UTを400ボリバルにするよう要請したが、SENIATはこれを受け入れることなくUTの改定を決定した。SENIATのホセ・ダビッド・カベジョ長官は、18.0%の改定率は過去5年間の改定率を基に算出したとしている。なお、2014年11月に租税組織法が改正されるまで、UTの改定率は前年のカラカス首都圏インフレ率が基準とされたが、改正後は全国のインフレ率が基準となっている。
UTは、所得税などの税金、罰金、「労働者の食事法」に規定される食事手当などの従業員手当、行政手続き料金などの基準となるため、UTの引き上げは企業にとってコスト増につながる。
なお、2016年3月末までに納税する必要がある2015年1~12月期の所得税には、改定前の1UT=150ボリバルが適用される。企業の会計年度がベネズエラで一般的な1~12月期と異なる場合は、当該年度のうち少なくとも183日間有効のUTが適用される。また会計期間が半期、四半期など1年でない場合は、期首に有効なUTを適用することになる。
(松浦健太郎)
(ベネズエラ)
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