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外国人の労働許可書に関する新政令を公布

(ベトナム)

ハノイ発

2016年02月26日

 ベトナム政府は2月3日付で、外国人の労働許可書に関する政令11/2016/ND-CP号(政令11号)を公布した。同政令は、現行の政令102/2013/ND-CP(政令102号)および決議47/NQ-CP(決議47号)4条a項に代わり、4月1日から施行される予定だ。政令11号では職務内容ごとの要件や労働許可書不要のケース、司法履歴書(無犯罪証明書)の要求なども変更になっている。

<職務内容ごとの要件が変更に>

 ベトナムで労働許可書を取得する場合、「社長、管理者」「専門家」「技術者」のうち、いずれかの類型に基づいて申請を行う。本政令では、それぞれの資格要件に関する定義が変更された。

 

 「社長、管理者」は、現行規定では「組織、企業を直接管理する外国人労働者」(通達32014TTBLDTBXH23項、以下、3号通達)とされているが、政令11号では「管理者」は「企業法418項に基づく企業の管理者(会長、社長、取締役など)または組織・機関の代表もしくはその代理」、「社長」は「組織・機関・企業の部門の長で直接管理する者」とそれぞれ規定された(34項)。本要件については、従来の包括的な規定内容がより詳細になったことで、どのように運用されるか注視する必要がある。

 

 「専門家」は、現行規定では「要求に応えられる専門性を持つ、もしくはベトナムで就労しようとする職種に該当する分野において最低5年の勤務経歴を持つ外国人労働者」(決議474a項)とされているが、政令11号では「外国の組織・機関・企業により専門家と認定された者」もしくは「大卒以上または同等の学歴を持ち、ベトナムで就労しようとする職種に該当する分野において最低3年の勤務経歴を持つ外国人労働者」のいずれかを指すとされている(3条3項)。本要件については、勤務経歴が短縮された一方で学歴要件との両方を満たすとされていることにより、厳格化されたと解釈することができる。

 

 「技術者」は、現行規定では「その技術分野において1年以上学び、その専攻分野において3年以上の勤務経歴を持つ外国人労働者」(政令10234項)とされているが、政令11号では「その技術分野またはその他専攻において1年以上学び、その専攻分野において3年以上の勤務経歴を持つ外国人労働者」(35項)と規定された。本要件については、技術者以外の専攻分野にも対象が拡充され、事務職でもこの類型による申請が行える可能性がある。

 

<発行不要のケースや無犯罪証明書の要求も変更>

 政令11号では、労働許可書発行が不要となるケースについて、社長、管理者、専門家、技術者として連続で30日まで、1年間のうち計90日までの期間で就労する外国人労働者などが新たに追加された(72e)。また、労働許可書発行が不要な場合は各地域の労働傷病兵社会問題局に対し、勤務開始日から7営業日前までに承認を得る必要があるが、前述の72eのケースと、販売活動のため、もしくは生産経営に影響を与えるか、与える恐れのある事故や複雑な技術上の不測の事態を処理するため、3ヵ月未満滞在するケースにおいては、承認手続きが不要とされている(82項)。現行法令の解釈上は1日でもベトナムで就労する外国人労働者には労働許可書が必要と解することができたため、本改正により出張者などの短期滞在者の負担の低減につながる可能性がある。

 

 労働許可書発行時の必要書類の1つとして、司法履歴書(無犯罪証明書)があるが、ベトナムに居住する外国人労働者の場合には、ベトナム当局が発行する司法履歴書のみでよいとされている(103項)。現行ではこの場合に、ベトナムの司法履歴書に加えて、直近居住国の無犯罪証明書が要求されている(3号通達52a)ことから、要件が緩和されたとみることができる。

 

 労働許可書の発行期間については、労働傷病兵社会問題局に対し完全な書類を提出した後、7営業日以内(122項)と規定され、現行の10営業日(政令102122項)から短縮される予定だ。

 

<政令の運用状況を注視する必要あり>

 労働傷病兵社会問題省国際協力局のハ・ティ・ミン・ズック副局長は20161月にハノイで開かれた会議で、「ASEAN経済共同体(AEC)の発足に伴い、アジア域内での労働者の移動が自由化されることで、ベトナムには高度な資格を持つ外国人労働者を呼び込める」との期待を示した。他方、同省労働局のレ・クアン・チュン副局長は「ベトナム人労働者の中には、外国人労働者により雇用が脅かされるとの意見もあるため、国際協定にのっとり国内労働者保護のための法的枠組みを考慮する必要がある」と指摘している(現地報道215日)。このように、同じ労働関連省庁内でも立場により意見が分かれる状況にあることから、ベトナムにおける今後の外国人就労政策についてはその方向性を注視していく必要がある。

 

 また過去の事例から、本政令の公布後に、施行細則を定めた通達が別途公布される公算が大きく、実際に政令11号での変更点に関して4月以降どのような運用がなされるかについて、特に日系企業にとって人事異動が多い時期に当たることから、法律事務所などの外部専門家も活用しつつ情報収集・対応に努めることが重要といえる。

 

(竹内直生)

(ベトナム)

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