重慶市、1類地区の最低賃金を20.0%引き上げ

(中国)

成都発

2016年01月21日

 重慶市政府は1月1日から最低賃金基準を引き上げた。改定は2014年1月以来2年ぶりで、市中心に近い1類地区の引き上げ率は20.0%となった。改定は2000年の最低賃金制度導入後9回目となり、引き上げ幅は毎回2桁台となっている。

2年ぶり9回目の改定>

 重慶市人力資源・社会保障庁は2015124日、「重慶市人力資源和社会保障局の全市最低賃金基準調整に関する通達」(渝人社発[2015250号)を発表。201611日から同市の最低賃金基準を引き上げた。

 

 市内の最低賃金基準は2地区に分類される。今回の改定に伴い、第1類(比較的市の中心に近い地区)の全日制就業(フルタイム)労働者(正社員)の最低賃金基準は、月額1,250元(約22,500円、1元=約18円)から1,500元に引き上げられた(表1参照)。非全日制就業(パート)労働者の法定最低時給は12.5元から15元となった。第2類(比較的郊外の地区)に属する15県のフルタイム最低賃金基準は月額1,150元から1,400元に引き上げられ、パートの法定最低時給は11.5元から14元となった。なお、当該基準には社会保険と住宅積立金の個人負担分が含まれている。

 重慶市政府は2000年に、「重慶市最低賃金保障規定(重慶市人民政府令[第106号])」を制定し、最低賃金制度を導入した。今回は9回目の最低賃金基準の改定となる(表2参照)。引き上げはおおむね2年に1回で、引き上げ幅は毎回2桁台に乗り、平均は20%超となっている。ちなみに、20161月の最低賃金基準は、20011月時点に比べ約5.2倍に達している。

<進出企業は冷静な対応>

 重慶市に進出している外資系企業は、最低賃金基準の引き上げに冷静に対応している。進出企業(製造業を含む)の多くは、従業員の平均賃金を参考に基本給と手当を設定しており、改定された最低賃金の水準を既に上回っている。ここ数年間の平均賃金の上昇率は15.0%未満にとどまっていた(表3参照)。ジェトロの「2015年度アジア・オセアニア進出日系企業実態調査」によると、重慶市進出日系企業の2015年度の基本月給は非製造業(スタッフ)で5,143元と、20161月改定の最低賃金基準の3.4倍となっている。

<成都市も20157月から引き上げ>

 ちなみに、四川省の省都・成都市政府は2015630日、「全市の最低賃金基準調整の通達(成府発[201519号)」を発表し、201571日から成都市のフルタイムの最低賃金基準を、1類地区は1,400元から1,500元に、2類地区は1,250元から1,380元に、それぞれ引き上げている。パートの法定最低時給についても1類地区は14.5元から15.7元に、2類地区は13.2元から14.4元に引き上げた。

 

(岡田英治、王植一)

(中国)

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